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八木山動物公園、15日で開園50年 より身近な「自然の窓」目指す 宮城

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八木山動物公園、15日で開園50年 より身近な「自然の窓」目指す 宮城

 仙台市太白区の八木山動物公園が15日で開園50周年を迎える。現在126種、約480点の動物たちが暮らす同園には、これまでに延べ約2600万人を超える人が訪れた。戦火だけでなく東日本大震災も乗り越えて歴史を紡いできた同動物公園は、市民にとってより身近な存在を目指している。(上田直輝)

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 「市民を始め、多くの人の支えがあって現在に至っている」

 大内利勝園長(61)はこう力を込める。仙台市に初めて動物園が誕生したのは昭和11年。一度は戦争で閉園し、32年に三居沢地区(現青葉区荒巻三居沢)に新しい仙台市動物園が開園した。

 その後、子供たちから島野武仙台市長(当時)に「もっと広い動物園を作ってほしい」と要望が寄せられ、40年10月15日に八木山動物公園が開園。以来、仙台市のみならず、県内各地から多くの人でにぎわうようになった。

 ◆震災乗り越えて

 職員たちにとって、とりわけ強く記憶に残っているのが平成23年の東日本大震災。同動物公園も被害に見舞われた。当時、副園長だった大内園長は園内での勤務中に強い揺れに襲われながらも、来園者の避難誘導にあたった。

 動物や飼育施設に大きな被害はなかったが、駐車場にヒビが入り、猿山は傾いた。電気や水道は止まり、飼育施設の暖房も使用できなくなった。

 「1匹、1頭、1羽も死なせるものか」。地下鉄の工事現場から給水車を借りて水を確保し、石油ストーブで飼育施設を暖めた。日本動物園水族館協会(東京)を通じて、全国の動物園から餌などの支援物資が集まった。職員も泊まり込みで動物たちの世話にあたった。全国からの支援と職員の奮闘のおかげですべての動物が生き延びた。

 飼育環境が落ち着くと、職員全員が被災地での動物園の役割を改めて考えた。

 「動物を見て、元気になったり、癒やされることができるのでは」

 駐車場や猿山を復旧し、早期のオープンを目指した。再開した23年4月23日には多くの人が訪れた。大内園長は「帰る人たちの笑顔をみて、少しでも役に立てたかなと感じた」と振り返る。

 ◆繁殖・研究にも力

 同動物公園では「生態展示」という手法をとっている。展示場所を動物本来の生息環境に近づけることで、動物のストレスを減らし、元気で自然な姿を見せている。

 繁殖や研究事業にも力を入れ、25年には絶滅危惧種のスマトラトラの繁殖に成功。絶滅危機にあった冬の渡り鳥、シジュウカラガンの放鳥事業も30年以上続け、昨年12月には1千羽が県内に飛来、環境相から表彰を受けた。

 現在、開園当時からいる動物はおらず、昭和45年12月に来園したベニイロフラミンゴが一番の古顔。また46年3月に来園したニシゴリラのドンは今年46歳となり、国内最高齢だ。

 12月には市地下鉄東西線が開業予定で、八木山動物公園と仙台市中心部、そして7月に開業した仙台うみの杜水族館が結ばれる。南北線やJR各線の地域ともつながることで、これまで以上に身近な動物園になると期待されている。

 大内園長はこれからの動物公園を「『自然の窓』にしていきたい」と話す。

 「動物たちをみて、地球環境や命の大切さを考えるきっかけになるような動物園にしていきたい」