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常総・水海道さくら病院、早くも診療再開 茨城

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常総・水海道さくら病院、早くも診療再開 茨城

 ■「奇跡の復興!!」掲げ気持ち一つ、奮い立ち 

 豪雨による浸水被害を受けて仮設テントでの診療を行っていた常総市水海道森下町の水海道さくら病院は、9月28日から2階で内科と外科の診療と、人工透析を再開した。10月5日からは、限定的に入院患者を受け入れる予定だ。同院はなぜ早期に院内での診療を再開することができたのか。それは幹部が掲げたある目標の存在抜きに語ることはできない。その目標とは-。

 鬼怒川の堤防決壊から4日後の9月14日、水海道さくら病院の会議室。同院は経営陣や理事、各部の責任者らで独自の対策本部を立ち上げ、今後の方針を話し合った。このとき広井信理事長らが目標を提示した。それは「奇跡の復興!!」だった。

 「おーっ」

 会議室はざわついた。この目標は15日に職員を集めた朝礼で告げられた。斎藤洋治看護師長はこう振り返る。

 「励みになる、いい言葉だ。力を合わせて頑張ろうと、職員の気持ちが一つになったのが分かりました」

 トップから示された強い意思は、職員らを奮い立たせた。

 同院は床上約150センチまで浸水。一時は患者約50人と職員約40人が孤立状態となった。

 決壊から2日後の12日には無事に全員が救助されたが、1階の外来診察室と人工透析センターは水没。人工透析器30台のほか、コンピューター断層撮影(CT)やレントゲン機器などの高額な医療機器が使えなくなった。被害総額は5億~6億円に上るという。

 広井理事長は水害発生直後の様子をこう語る。

 「1階は泥の堆積と臭いがひどかった。職員も『これはだめだろう』『(復旧は)無理だよ』などと言って意気消沈していました」

 そんな職員らを奮起させるためにも必要だった目標。それは「くじけていてはいかない、被災から何とか立ち上がろうという決意の表れ」(広井理事長)だった。

 自宅が被災した職員もいたが、全員で必死の復旧作業が行われた。16日からは仮設テントで薬の処方や簡単な診療を始めた。そして28日、浸水を免れた2階で外科診療などを再開するに至る。

 もっとも、課題はいまだ多く残されている。入院患者の受け入れを予定しているが、検査機器などが不十分で、持ち運び可能な小型のレントゲンで対応できる患者に限らざるを得ない。ボイラーや空調設備などの復旧も急がれる。1階部分も壁の取り換え工事中で、完全復旧は11月以降になる見通しだ。

 奇跡の復興を現実にする-。その思いは途切れることなく、今も原動力となって、水海道さくら病院を突き動かしている。(上村茉由)