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「自分証明する術なかった」 33年無戸籍女性、過料取り消し訴え

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「自分証明する術なかった」 33年無戸籍女性、過料取り消し訴え

 前夫のドメスティックバイオレンス(DV)から逃れるため、離婚前に別の男性との間に生まれた女性(33)の出生届を33年間出さなかった実母が、戸籍法違反で過料5万円とした藤沢簡裁の決定を不服として横浜地裁に即時抗告した問題で、女性が25日、横浜市内で記者会見を開き、「今回のあまりに無慈悲な決定は、無戸籍者家族を取り巻く過酷な現実を無視している」と、決定の取り消しを訴えた。

 女性や代理人弁護士などによると、女性は県内在住で今年7月に戸籍を取得。現在は実母、再婚した実父の両親とともに暮らし、アルバイトをしている。

 無戸籍だった33年間について、女性は「つらかったのは、自分を証明する術が全くないこと。両親がいなくなったら社会に存在しない自分がどのように暮らしていくのか、との思いがあった」と振り返る。

 小中学校への通学もできなかった女性は、両親から読み書きなどを教わったが、学歴や職歴がないために就職のための履歴書も書けず、また、健康保険証も持っていなかったという。

 代理人弁護士の1人は「(実母は)出生届を出したくなかったわけでは決してない。(前夫の)激しいDVがあって、どんな報復があるか分からなかった」と指摘。過料決定の手続きでは意見聴取もなかったといい、「(ほかの無戸籍者家族らが)法的手続きを取ることにブレーキをかけてしまう」と強調した。

 「両親が一生懸命頑張ってくれたおかげで今がある」と話した女性は「裁判官には、無戸籍の過酷さをもっとよく知ってほしい」と訴えた。