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酒米作り、農村と首都圏を結ぶ 交流拡大へ白州の「挑戦」 山梨

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酒米作り、農村と首都圏を結ぶ 交流拡大へ白州の「挑戦」 山梨

 首都圏の飲食店のオーナーや従業員が北杜市白州町の水田で、地元の農家とともに無農薬で栽培した酒米を収穫した。酒米は地元の酒蔵が醸造し、出来上がった日本酒は栽培に携わった飲食店が消費者に提供する。従来の農業を通じて農村と首都圏の居住者との交流を発展させ、酒を売る立場の飲食店がコメを栽培した白州町の恵まれた農村環境を消費者に売り込むことで、地域への来訪者を増やし、経済効果を拡大しようという試みだ。

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 首都圏の飲食店を巻き込んだ酒米栽培の中心的役割を果たしているのは地元白州町の「農を通じた共生推進プロジェクト協議会」。メンバーは農家や農業法人関係者ら15人。高齢化や過疎化が進行する農村の課題を解決して、地区を再生する手法として、農村と都市の“対流共生プロジェクト”を生み出した。首都圏の飲食店がコメ作りから携わった日本酒を店で売ることで、産地を消費者に直接売り込むことができる。

 同地区は以前から首都圏の飲食店と野菜やコメ作りを通して交流があった。都内や横浜市で飲食店チェーンを展開し、今回の酒米栽培に加わった株式会社ジャックポット・プランニングの吉中稔副社長は「地元の酒蔵の山梨銘醸(北杜市白州町)が店で年に2~3回『お酒の会』を開いている。水がおいしい地区で、酒を通して首都圏に白州をPRしたい」と話す。コメは無農薬で育て、地元の蔵元が醸造することで産地完結の日本酒ができ上がる。4月に地元農家と飲食店主らが20アールの水田に酒米「夢山水」の苗を植えた。

 無農薬栽培のため、雑草が生える。夏には従業員らが毎週首都圏から交代で訪れ、手作業で除草した。収穫作業には飲食店オーナーや従業員約20人が参加した。収穫したコメは推計約960キロ。醸造を担当する山梨銘醸によると、1500リットルの日本酒ができる。1升瓶で800本以上の数量だ。「夢山水」は吟醸酒向けでフルーティーなタイプの酒となる。10月に仕込みを開始、純米大吟醸として年明けには新酒に仕上がる。

 同協議会の山城智浩事務局長は「農家が自分の作物をどんな人が買っているかが分からず、客の顔を知らないままだった。しかし、都内の飲食店で開いた野菜イベントを通じて消費者との距離が縮まった。今度は日本酒を通じて新しい消費者との接点が生まれる」と話す。新酒の披露会では農家の人々も参加する。

 吉中副社長は「栽培に携わった従業員が、店では客にコメ作りの苦労話を交え、酒造りの説明ができ、食のありがたみを知り、産地の情報を伝えることができる」とも話した。来年1月には酒米作りに加わった都内の約150店舗の飲食店で白州産純米大吟醸が売り出されるが、酒のネーミングでは産地を強調するため「白州」の文字を生かす案が出ている。