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タトゥー隠せば入浴OK さいたまの浴場、11月まで試験運用 海外客増、認識も進む

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タトゥー隠せば入浴OK さいたまの浴場、11月まで試験運用 海外客増、認識も進む

 入浴施設の大半が「タトゥー(入れ墨)お断り」を掲げる中、さいたま市北区の温浴施設「おふろcafe utatane」で、小さなタトゥーならシールを貼って隠すことで入浴を受け入れる取り組みが始まっている。8月1日から1カ月間の試験的な運用だったが、「新しい層の来客があり、既存利用者の方からの批判的な意見もない」として11月末まで期間を延長した。県は「全国的にも珍しい取り組み」として注目している。

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 同店を運営する温泉道場(ときがわ町玉川)は、「おふろから文化を発信する」をモットーに県内3カ所で温浴施設を運営。中でも約2年前にオープンした同店は、宿泊施設を備えて駅に近いため、若者や外国人の利用が多いという。

 シール導入の背景には、若い世代に小さなタトゥーがファッションとして認識されつつあることや、文化としてタトゥーを施す外国人旅行客の増加がある。大手宿泊事業会社「星野リゾート」が10月からの導入を決めたことも後押しし、「今まで店を利用したことのない人にも楽しんでもらおう」とスタートした。

 シールは縦12・8センチ、横18・2センチのB6サイズで、申し出を受けるか、スタッフがタトゥーを見つけた際に声をかけ、1枚200円で販売。1枚以内で隠しきることが条件で、数カ所にタトゥーがあってもシールを切り分けて隠せれば問題ない。利用者には男女それぞれのスタッフが脱衣所まで同行し、シールからタトゥーがはみ出していないかをチェック。隠しきれない場合は入浴を断っている。

 1カ月間で利用者は20人ほどだったが、「20年ぶりに大衆浴場に入れてうれしい」など好意的な意見が多かったほか、「術後の傷を隠せてありがたい」と想定外の利用者もいたという。

 店を利用した同市の女性(41)は「タトゥーが見えないなら入っていても気にならない。外国人が利用できるのはいいかも」と理解を示した。一方、母親(68)は「やっぱりタトゥーには怖い印象がある。これも時代の流れなのかな」と話していた。

 県生活衛生課などによると、県内の銭湯や公衆浴場は26年度で666カ所(暫定値)。多くの施設でタトゥーがある人の入浴を禁止しているが、県の条例や公衆浴場法では規制する法令はなく、あくまで浴場運営業者の判断という。

 温泉施設は減少傾向にあるが、「これまでの利用者も納得できて、新たなニーズを取り入れようという工夫は応援したい」と同課。同店は「取り組みの過程でタトゥーに対するイメージや感覚が変わってくる可能性もある。試験の結果次第では本格的な導入も検討したい」と話している。(川峯千尋)