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鬼怒川堤防決壊 「家に戻りたい…」「稲が使い物にならない」 茨城  

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鬼怒川堤防決壊 「家に戻りたい…」「稲が使い物にならない」 茨城  

 「水害なんて全然頭になかったです。びっくりというよりショックです…」

 集落が浸水した筑西市船玉。近くに住む主婦(62)の表情は憔悴(しょうすい)しきっていた。雨がやんだ10日午後2時ごろ、住民10人ほどが川の見える場所に集まり、肩を落とした。

 被害は常総市だけではなく、県西地域を中心に広がった。

 避難所となった下妻市別府の市立大形小体育館。南側約2キロの常総市若宮戸で鬼怒川の水が堤防からあふれ出したため、周辺住民が駆け込んだ。体育館のすぐ隣には鬼怒川が流れている。激しく流れるその川を横目に無職男性(76)はこう話した。

 「水があふれ出たと聞いて家に鍵を掛けて、すぐ飛び出した。家に戻りたいが、道路も冠水して通行止め。早く水が引いてほしい」

 石岡市片野地区は、まるで湖のように一面濁った水で満たされていた。時折、田んぼや畑の様子を見にくる人もいたが、辺りは静けさに包まれていた。

 恋瀬川は昨年10月にも台風の影響で越水しており、困惑は広がっていた。

 近くに住む兼業農家の男性(58)は「滝のような土砂降りだった。去年も越水したが、まさか今年もくるとは…」と苦々しげな様子。農家の女性(62)は「田んぼが冠水したら、稲が使い物にならない。経済的にも大打撃です」と心配した表情を浮かべた。

 恋瀬川の越水により浸水なども起きた。片野地区には避難指示が出され、各所で道路が通行禁止になった。

 時間が経過すればするほど、事態は深刻化するばかり。こうなることは、早朝の段階から予想はされていた。

 茨城県に大雨の特別警報が発令される直前の午前7時ごろ、小美玉市内の常磐自動車道では、フロントガラスに滝のような雨が打ちつけられ、先を走る乗用車が全く見えなくなる状態だった。路面は冠水しており、対向車が巻き上げた水しぶきが中央分離帯を越えて反対車線の乗用車を直撃、車体が大きく揺れていた。自動車はみな速度を落として走行していた。