産経ニュース

【静岡 人語り】二胡奏者・鈴木裕子さん(27)始まりはゲームのサントラ

地方 地方

記事詳細

更新

【静岡 人語り】
二胡奏者・鈴木裕子さん(27)始まりはゲームのサントラ

 ■わーっと鳥肌が立った音色

 4歳からピアノを習っていました。母がピアノを習わせてもらえなかったので、娘にやらせたらどうなるかなという感じで私に習わせたみたいです。小学生の時は合唱の伴奏でピアノを弾かせてもらう機会もよくあって楽しくて。ピアノをずっと続けていくのかなと思っていました。と思っていたら、中2でまさかの進路変更になるんですけど(笑)。

 中1のお祝いでCDプレーヤーを買ってもらって新しいCDをと思ってCDショップに行って。テレビゲームが好きだから、ゲームのサウンドトラックのコーナーに行ったんです。

 パッケージに鳳凰(ほうおう)の絵が描いてあったCDを見つけて、中国っぽい曲が入ってるんだろうなと思ったんです。当時から「らんま1/2」や「ドラゴンボール」のアニメがきっかけで、中国っぽい文化がすごく好きで。「このCDにも多分そういうのが入ってるんだろうな」と軽い気持ちで買ったのを今でも覚えていますね。直感で決めました。

 小学生の時は夕方に、らんまやドラゴンボールのアニメを放映していて、そこで大好きになりました。テレビ静岡のその時間帯のアニメがなかったら、今の私はなかったです(笑)。

 ゲームに目覚めたのは、兄がスーパーファミコンやニンテンドー64でマリオとかを遊んでいるのを見たからかな。途中から兄より、ゲーム熱が強くなりましたけど(笑)。父親はまったくゲームに理解はなかったんですが、ゲームをやっていなかったら二胡に出会ってなかったかもしれないし、どう転ぶかわからないですよね。

                   ◇

 CDには、1曲目に二胡の音色が入っていて、「ハー…」と思ってわーっと鳥肌が立って。「なんだろうこの音は」ってなって。初めてのCDプレーヤーだったんで、めちゃくちゃかしこまって聞いていたんですよ。他の何かをしながらじゃなくて。なので、余計にすごく感じたんです。あの頃は感受性も豊かだったし、それでじんわりと来たんでしょうね。でも、その音が二胡という楽器ってことは知らなかったんで、「この音なんだろう」と思いました。

 “その楽器”は、当時習っていたピアノでは出せないニュアンスの音が出ていました。鍵盤にない音というか。それがすごく魅力的に思えました。波のようなビブラートとか「あれを自分で操るってどんな感じなんだろう」と思って、やりたいなと思っていたときに、カルチャースクールのチラシが家に入ってきて「ここで習えるみたいだよ」と母親に言われて、始まったんです。

 CDを買ってもらってまもなく、そのCDの元になったセガのドリームキャスト用ゲーム「シェンムー」をやりこんで、中学生の時期はシェンムー一色という感じでした。アイドルとかは全然、好きにならなくて、ひたすらわが道を行っちゃってました(笑)。

 シェンムーは、ゲームの舞台が、横須賀から香港や桂林に行くような流れだったんですが、ゲームにゆかりの場所はその後、実際に行ってますね。開発者の鈴木裕さんと私の名前が1字違いなのはちょっと感動しましたね。

 すごく作り込まれた良いゲームだったんですが、10年以上続編が出なくて。最近、続編を作ってもらうために、米国人が世界中からお金を集めたんですけど、その気持ちはすごくわかります。続編が出るというのを聞いたときは震えましたね。

 二胡仲間で「シェンムーがきっかけで始めた」っていう人は他にもいます。その方とは「シェンムーの続編が出るなら夏バテしている場合じゃない」「そうですよね」とか言い合っています。他にも、シェンムーがきっかけっていう人はいると思いますね。(構成 大坪玲央)

                   ◇

【プロフィル】鈴木裕子

 すずき・ひろこ 昭和63年焼津市生まれ。4歳でピアノを習い始め、13歳のころ、中国を主な舞台としたセガの家庭用ゲーム「シェンムー」のサウンドトラックCDで聞いた二胡の音色に魅了され、静岡市内で習い始める。県立清水南高芸術科ピアノ専攻進学後、中国に短期留学し、本場で薫陶を受け、2008年に北京中央音楽学院民族楽器科に入学。12年7月に卒業後に帰国し、日中交流イベントや各地で演奏活動をするかたわら、静岡市内のカルチャースクールで後進の指導にも当たっている。平成25年11月よりアイワ不動産のCMに出演しているほか、今年8月に台湾で公開された日台合作のホラー映画「屍憶」の劇中で流れる二胡の曲を演奏。二胡のすばらしさを広める活動に努めている。