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ニホンザルによる捕食確認 ライチョウ保護「早急な対策必要」 長野

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ニホンザルによる捕食確認 ライチョウ保護「早急な対策必要」 長野

 県鳥でもあり、国天然記念物として山岳地域に生息するライチョウが、高山帯に侵入しつつあるニホンザルの捕食の標的になっているのが確認されたことは、自然保護関係者に大きな衝撃を与えている。

 ライチョウは1980年代まで国内に3千羽程度が生息していたが、2000年代初頭には2千羽弱にまで減少したと推測される。国内では県内の北アルプスと南アルプス、乗鞍岳、御嶽山と新潟県の火打山の高山帯に生息しており、中央アルプスや八ケ岳ではすでに絶滅している。

 県は昨年度に改定した県版レッドリスト(動物編)で絶滅の可能性が高まったとして、今年度から2年間かけて北アの常念岳周辺や白馬岳周辺、南ア塩見岳周辺、御嶽山を対象に緊急生息実態調査を開始したばかりだった。

 県庁で31日に記者会見した中村浩志教授と東邦大理学部地理生態学研究室の小林篤研究員によると、捕食の場面を撮影したのは8月25日午前10時ごろから11時すぎ。近年、高山帯での目撃例が増えているサルが、20頭以上の群れで北ア東天井岳の標高2800メートル付近にいるのを見つけ、そのうちの1頭がライチョウの雌と2羽のヒナに接近。雌は逃げたが、ヒナの1羽はサルに捕まった。その様子を見ていた他のサルも、捕まえたサルからヒナを奪うような行動を見せたという。

 中村教授はこれまでの調査で、捕食が確認された一帯のライチョウは、子育ての時期にもかかわらずヒナの数が0羽という雌が多く、「すでにサルによるヒナの捕食が広がっている可能性が高い。早急な対策が必要だ」と警鐘を鳴らした。

 小林研究員は、ライチョウを捕食するのはハヤブサの仲間のチョウゲンボウやオコジョのほか、近年ではサルやキツネ、カラスなど本来は高山帯にいない動物が増えているとし、「ライチョウにとっては温暖化などの自然環境の変化だけでなく、捕食の増加により絶滅の危機が急速に増加している」と指摘した。

 県自然保護課の山崎明課長は「ライチョウの生息調査を実施しており、冷静にかつ科学的に向き合い、保護に取り組む国や県がそれぞれの立場から実態を把握する必要がある。当面は自然保護レンジャーや大町市立山岳博物館と募集を開始したライチョウサポーターによる見守りを続けたい」と強調、対策について環境省とも調整する方針だ。