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【数字から見えるちば】貝塚、全国1位の739カ所 連携、魅力の発信が必要

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【数字から見えるちば】
貝塚、全国1位の739カ所 連携、魅力の発信が必要

 ドイツの考古学者シュリーマンが幼い頃から抱き続けたトロイ遺跡発掘の夢をかなえたのは51歳のときだった。古代遺跡には、人々の心をつかんで離さない不思議な魅力が潜んでいる。

 千葉県の代表的な古代遺跡といえば、主に魚介類の食べかすなどを捨てる場所として集落ごとにつくられていた「貝塚」である。その数は全国1位の739カ所で、国内の約2割が集中する。太古の昔から本県が温暖な気候と海の幸に恵まれ、多くの人が暮らしていたことを物語っている。

 とりわけ有名なのは、日本最大級の縄文貝塚として教科書でおなじみの加曽利貝塚である。貝塚は平安時代の華やかさも戦国時代の猛々しさもなく、極めて落ち着いた雰囲気の遺跡であるが、加曽利貝塚では竪穴住居での生活体験、土器づくりや火起こし、縄文人の料理の再現など、工夫を凝らして当時のリアルな暮らしぶりを五感で味わえる体験型施設となっているのが特徴である。

 現在、全国各地の自治体は、地域資源を活用した「地方創生」に取り組んでいる。より効果的なものにするには、加曽利貝塚のような仕掛けもさることながら、何よりも住民の郷土愛が欠かせない。地域資源の中でも、文化遺産は長い年月をかけて積み重ねられた格別な魅力を持っているが、地域の一人一人がその素晴らしさや価値に気づき、郷土に愛着や誇りを持つことによってさらに輝きを増すだろう。

 魅力あるまちは、そこに住む人々が歴史や文化を大切にしており、その愛着や誇りは地域発展の原動力にもなっている。本県には魅力ある文化遺産がたくさんある。多くの住民が、シュリーマンのように、かつてこの地に暮らしていた先人たちに思いをはせれば、郷土愛はいっそう深まる。

 さらにそれを地域起こしにつなげるためには、群馬県富岡市の富岡製糸場が、同県の伊勢崎市・藤岡市・下仁田町に点在する養蚕関連の文化財と連携して世界遺産指定を勝ち取ったように、数ある貝塚が連携して広域で情報発信やイベント開催を行うことで、魅力ある遺跡群として知名度を上げることが重要となろう。(ちばぎん総研調査部主任研究員 安間慎一郎寄稿)

                   ◇

 ■都道府県別の貝塚の数

 (1)千葉県  739(18.7%)

 (2)茨城県  381 (9.7%)

 (3)沖縄県  347 (8.8%)

 (4)宮城県  309 (7.8%)

 (5)岡山県  290 (7.3%)

    全国  3946

※文化庁「平成24年度周知の埋蔵文化財包蔵地数」より(消滅したものを含む)