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【戦跡を行く】ロッシェル塩、ワイナリー「サドヤ」(甲府市)

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【戦跡を行く】
ロッシェル塩、ワイナリー「サドヤ」(甲府市)

初の一般公開へ

 サドヤではこれまで、保管するロッシェル塩の結晶の実物を一般公開したことはない。「ワインが軍事目的に使われたという『負の遺産』への戸惑いがありました」。しかし、国立科学博物館(東京・上野公園)からの依頼に応え、同館が今秋から開催する「ワイン展」へ貸し出すことを考えている。

 「多くの農産物がコメやイモなどへの転作を強いられた戦時中も、ブドウ栽培とワイン醸造を続けることができました。それが今のワイン造りにつながっているのです」。戦後70年の節目を迎え、今や世界的にも高く評価される日本ワインが背負う重い歴史の一面を広く知ってもらう決心がついたという。

 ロッシェル塩の精製作業場跡は約20年前のワイナリー改装時に埋め立てられ、戦時中の様子を知ることはできない。作業場のあった辺りの地上には現在、結婚式場が建つ。平和な時代の今、当時と同じ敷地内で造られるワインは「幸せの門出」を祝って振る舞われている。(頼永博朗)