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【戦跡を行く】ロッシェル塩、ワイナリー「サドヤ」(甲府市)

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【戦跡を行く】
ロッシェル塩、ワイナリー「サドヤ」(甲府市)

 国内屈指のブドウとワインの産地であった山梨県はその中心となり、サドヤには海軍技術研究所公務分室が置かれた。「今井研究所」と呼ばれ、各地のワイン醸造施設から集められた酒石酸からロッシェル塩を精製する拠点となった。今井さんによると、分室長には出兵もしたサドヤの2代目で今井さんの父、友之助さんが就任。精製作業場は、醸造施設の地下15メートルの所に横穴を掘って設けられたという。

空襲の標的に

 今井さんは、生前の友之助さんから当時の話を聞いたことがある。「祖父の精三は以前からロッシェル塩の特性に注目し、研究していたそうです。このため精製技術が高く、拠点に選ばれたと思われます。分室で初めてロッシェル塩ができた際には、軍による納入式が盛大に行われたと聞いています」。サドヤに残る桐箱入りのロッシェル塩は、このときに宮内省(当時)に納められ、戦後に返却されたものだという。

 軍需工場としての機能を終えることになったのは20年7月。犠牲者1127人を出した同6日夜~7日の甲府空襲で、サドヤも標的となった。

 「200発を超える焼夷(しょうい)弾が敷地内に落とされたそうです。軍の車両が出入りしていたことから狙われたのでしょう。貯蔵庫も被害に遭い、流れ出したワインで近くの川に逃げ込んだ市民の服が真っ赤に染まったと伝わっています」