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【戦跡を行く】ロッシェル塩、ワイナリー「サドヤ」(甲府市)

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【戦跡を行く】
ロッシェル塩、ワイナリー「サドヤ」(甲府市)

 ■兵器造るための醸造

 「この透明の結晶が戦時中、海軍の兵器に使われていたロッシェル塩です」

 JR甲府駅近くにある大正6年創業の老舗ワイナリー「サドヤ」(甲府市北口)を訪ねると、同社の3代目で顧問の今井裕久さん(67)が、プラスチックケースに入った6センチ大の結晶2個と桐箱入りの10センチ大の結晶1個を大切そうに持ってきてくれた。結晶は大きな氷砂糖のように見えた。

ソナー部品に

 ワインの澱(おり)は、ブドウからワインを醸造する際にできる酒石酸が、カリウムなどのミネラル分と結合してできる。ロッシェル塩は、ワインの副産物である、この酒石酸を原料とした化合物だ。

 ロッシェル塩には、圧力を加えると電圧を発生させる性質がある。音響振動を電気信号に変換する特性を生かし、マイクロホンやイヤホンなどに用いられ、戦時中は潜水艦や魚雷の音波を探知するソナー(水中聴音機)の部品となった。

 旧日本海軍は昭和17年6月のミッドウェー海戦に敗れて劣勢に立たされると、ドイツに将校を派遣。ロッシェル塩の応用技術を日本に持ち帰らせ、酒石酸を多量に採取するため、ワインの増産を推し進めた。