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出雲に戦争の“傷痕”語る松 航空機燃料用のヤニ採取 

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出雲に戦争の“傷痕”語る松 航空機燃料用のヤニ採取 

 戦時中、航空燃料用に松根油(しょうこんゆ)を採取した傷痕を残す、島根県出雲市大社町の神門通りの黒松を紹介する写真展「戦争の手ざわり」が11~17日、同通りの吉川商店で開かれる。戦後70年の今も残る傷痕に着眼した地元の写真家が「平和を考えるきっかけに」と企画した。

 写真展を開くのは同市斐川町の高嶋敏展さん(42)。「節目の年に身近な『戦争の手ざわり』を作品にして展示しよう」と、松並木61本に残る傷痕を、十数年かけて撮影した約1万カットから、40点余りを選んだ。

 松根油は戦争末期、航空燃料不足を補うため、松の幹を切り込んで松ヤニを採取、精製した。各地に精製場が作られたが、技術、労力的に頓挫したとされる。県内では出雲市の浜山や日御碕、松江市の美保関などに傷痕を残す松があったが、松枯れなどで少なくなっているという。

 展示では、幹の根元付近で油を採った傷痕▽松ヤニを採取したブリキ缶の一部を抱え込んだ幹▽虫に食われた松から、生きている証のようににじむ松ヤニ-など生々しい写真が並ぶ。

 高嶋さんは「観光客でにぎわう神門通りだが、松並木の傷痕に気付く人は少ない。『本物』は会場の目の前にあり、見て感じ、考えてもらえたら…」と話す。

 高嶋さんによる「旧海軍大社基地の滑走路」を紹介する写真展も、18日まで斐川文化会館で開催中。