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【知事選に問う 生きる×埼玉】(4)暮らす 街「消滅」に危機感

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【知事選に問う 生きる×埼玉】
(4)暮らす 街「消滅」に危機感

 ■「人口減少の実情に目を向けて」

 「特産の花を生かした出会いの場を設けて、若者を呼び込もう」「農業を学んだ学生に積極的に仕事を斡旋(あっせん)すべきだ」-。7月28日、本庄市役所で開かれた「地方消滅の要因は少子化にあり!」と題したシンポジウム。同市のほか美里、神川、上里の児玉郡3町の住民ら約90人が参加し、結婚支援策や定住促進策について意見を交わした。

 増田寛也元総務相が座長を務める「日本創成会議」の分科会は昨年5月、平成52年に全国の896市区町村が「消滅危機」に直面するとの試算結果を発表した。その理由は「若年女性の減少」。県内では63市町村のうち21市町村が「消滅可能性がある」とされ、児玉郡市では美里町が「消滅可能性が高い」とされた。

 シンポを主催したこだま青年会議所の神宮尚明さん(40)は副題を「子供が消える、街が消えるその前に」とした。「誇張ではない。今、対策を取らなければ現実になってしまう」と危機感を募らせる。

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 総務省の統計によると、県の26年10月1日現在の人口増減率は0・23%と全国平均のマイナス0・17%を大きく上回り、全国で3番目に高い。だが、増加しているのは戸田やふじみ野など県南部を中心にした21市町で、県北や秩父地域の42市町村は減少している。

 県内では24年に初めて死亡率が出生率を上回り、県全体の人口増も長くは続かない見通しだ。県は27年に725万人となった後、数年で減少に転じ、42年には703万人と予測。705万人だった17年と同程度だが、65歳以上が17年の116万人から209万人にほぼ倍増する一方で、15~64歳は489万人から416万人に、14歳以下は99万人から78万人にそれぞれ減少するとみられている。

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 「希望はあると思っている。そのために取り組みも続けている」

 飯能市商店街連盟会長の町田明夫さん(62)は力を込める。県西部に位置する飯能市もまた、消滅可能性都市の一つに挙げられた。同市では20、30代の転出が転入を上回り、婚姻率、出生率が県内平均を下回っている。

 市民に商店街に目を向けてもらうため、商店主が「アジのおろし方」などプロの技を市民に教える「飯能まちゼミ」といった取り組みを行う同連盟。町田さんは「県の施策は全県的なものが多い。それぞれの街の実情に目を向けてほしい」と求める。

 前出の神宮さんは「県端に位置する児玉郡市は都心からの恩恵を受けられず、努力にも限界がある」と訴え、県にこう要望した。

 「県全体で危機感を共有し、同じ問題を抱える他の地域と連携を取りたい。そのためにも、県には統率力を発揮してほしい」

 人口減少に向けた地域活性化策として、新人の石川英行氏(52)はアニメ作品を生かした観光政策「アニメミクス」を提唱し、映画祭やイベント支援などの実施を訴える。

 現職の上田清司氏(67)は農山村と都市の住民を橋渡しするため、定住促進や就農支援の総合窓口設置を検討。また、各地域の課題を分析し、具体的施策につなげるとしている。

 新人の柴田泰彦氏(62)は新規就農奨励給付金制度の創設で農業後継者の育成を図る。商店街活性化策では制度融資や後継者、経営などの相談に対応できる体制整備を目指す。

 新人の塚田桂祐氏(58)はアニメ・漫画などのコンテンツ産業の拠点創設や地域文化財の観光資源活用などを訴える。観光づくり推進条例を生かした具体的な振興計画の策定も掲げる。