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宇都宮のLRT事業 三セク設立、運営へ 市と芳賀町「行政が多くの役割を」

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宇都宮のLRT事業 三セク設立、運営へ 市と芳賀町「行政が多くの役割を」

 宇都宮市などが導入を目指すLRT(次世代型路面電車)の運営を担う事業主体について、佐藤栄一市長と芳賀町の見目匡(ただし)町長は28日、両市町が主体的な役割を担う官民連携の新会社(第三セクター)を設立すると発表した。今後は全国の軌道事業者に運転士の養成を含む技術支援を正式に要請するとともに国や県、地元経済界などに出資を募って設立案をまとめ、早ければ9月議会に提出する。

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 LRT事業について市などは、優先整備するJR宇都宮駅東口区間(約15キロ)について平成28年度の着工、31年度の運行開始を目指しており、6月から事業主体の公募を実施した。

 関東自動車(宇都宮市)1社が応募し、官民出資の三セクによる新会社設立を提案したが、開業前資金の市からの借り入れや開業後に赤字が出た場合は行政が補填(ほてん)することなどを求めたため、「リスク負担が限定的で事業主体として不十分」などとして不採用となっていた。

 この日、宇都宮市役所で記者会見した佐藤市長は「15キロ(の軌道を)敷設する国内で例のない事業。民間事業者だけで行うにはハードルが高いことを改めて実感しており、行政が多くの役割を担うべきだと判断した」と説明した。

 ◆「日本初の事業」に民間二の足

 行政が軌道を敷設し、民間が運行する「上下分離方式」による整備方針を掲げてきた宇都宮市などのLRT事業は、運行も行政主体になる公算となった。富山市など各地のLRTは廃線になった線路を活用する例が多いが、宇都宮の場合はゼロから軌道を敷く全国初のケース。既存の鉄道事業者が「二の足」を踏んだのは、この点も影響しているとみられる。

 宇都宮市などは当初、昨年度中に事業主体を選定する方針で全国の19事業者に接触。うち4社が関心を示し、大手私鉄を含む5社が技術協力に応じる姿勢を示したがまとまらず、公募に踏み切った。

 最終的に、鉄道事業も手掛ける「みちのりホールディングス」(東京都千代田区)傘下で地元のバス会社、関東自動車が名乗りを上げたが、地元経済界を中心に「行政主導の三セク」を求める声が高まっていた。

 「公募では(事業主体は民間の)1社か複数か、いずれかになればいいと考えていた」。記者会見で思わず「本音」を漏らした佐藤市長だが、「さまざまな課題をクリアしていけばやれる」と強調。関東自動車についても「事業参画を求めて協議を続けている」とし、新会社の出資比率については「これから協議する」と述べるにとどめた。

 見目町長は「個人的な意見だが、(運行は)民間が行うのが理想。開業後に安定してくれば少しずつ(民間に)任せていってもいいと思う」と話した。(原川真太郎)