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教師力、夜間塾でアップ 大阪狭山市、アイコンタクトや表情“特訓”

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教師力、夜間塾でアップ 大阪狭山市、アイコンタクトや表情“特訓”

 大阪狭山市が若手の小中学校教師の指導力向上のための夜間塾を開いている。“特訓”の中身は、アイコンタクトや、表情のつくり方など、いかに子供の心をとらえるか。教師の先輩、後輩関係の希薄化や、精神疾患などを理由にした教師の休職が高い水準にあることから自信を高めるのも狙い。夜間塾のプログラムを作成し、講師も務める大阪教育大の岡田耕治教授(60)は「先輩が後輩に教えるという機会が少なくなるなか、若手教師にとっても心強い試み」と話している。

 「どうしたん、どうしたん」。今月18日、市内の小学校に約50人の教師が集まった。テーマは「表情をつくる」。4、5人が一組となり、さまざまな声色と表情で、「どうしたん」を口にし、感想を言い合った。

 岡田教授は、「子供に『どうしたん』と語りかけるときでも、表情と声色で、何通りもの『どうしたん』ができる。その使い分けで、子供の本音を探っていくのも教師の技術」と説明する。

 中2の担任をしている女性教諭(23)は「子供の本音を感じることが本当に難しい。『言葉の表情』という考え方が参考になった」と夜間塾を終えた感想を話した。

 大阪狭山市では3年前から、若手教師を集め、夏に講習会を開いてきたが、30代以下の教師が急増してきた実情を踏まえ、「促成栽培が必要な時期になった」(同市教育委員会)と考え、年間を通じての夜間塾開講に踏み切った。今年5月から来年2月までの計7回開催する。

 教師の休職者が高いレベルにあることも背景の一つにある。文部科学省の調査では、鬱病などの精神疾患で24年度に休職した公立小・中・高校などの教員は4960人で、19年度以来5年ぶりに5千人を下回った。休職者は平成4年度の1111人から増加し続け、ピークの21年度には約5倍の5458人に達したが、その後3年連続で減少した。ただ文科省では「依然として高水準」としている。

 講師として、プログラムを組んだ岡田教授は、自身も17年間、府岬町立岬中の国語の教諭として教壇に立ち、その後、府教委事務局で指導主事も務めた。

 5月の第1回目では「アイコンタクト」がテーマだった。小1を教えている男性教諭(24)は「静かにしなさい」と言う前に、一人一人の目に語りかけてみた。「自然と静かになりました。言葉以外のコミュニケーションが大事だと、改めて気付きました」と話した。

 岡田教授は「最近では、視線をあわせて話す子供が少ない。見つめあいながら話すことが大切で、先生の表情は子供たちの心の原点になる。先輩教師から助言を受ける機会が減り、教育現場で困っている若い教師が増えている。行政がこういう取り組みをすることは大切だ」と話している。