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【もう一筆】秋田 有名無実…公務員の告発義務

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【もう一筆】
秋田 有名無実…公務員の告発義務

 公務員の不祥事や、官公庁が被害に遭った事件の際に「警察に被害届は出していない」とか「刑事告訴はしない」というフレーズを聞くことが多い。

 例えば、秋田市立中で事務職を務めていた男性主査が680万円余りを着服し、昨年6月に懲戒免職になったが、市教委も学校も当時、「被害が弁済されているから」と、被害届を出さなかった。

 刑事訴訟法239条2項は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と、公務員に告発(告訴を含む)義務を課している。

 告発以前に被害届すら出さないのは違法と言わざるを得ないが、告発しない裁量があるとされ、罰則は定められていない。

 もう一例。秋田大医学部のホームページが4月にシリアのハッカー集団とみられる組織に改竄(かいざん)された事件で、大学は被害届を出していない。

 国立大学法人職員は「みなし公務員」とされ、収賄罪などが適用される。では告発義務があるかというと、あると解釈するのは難しいようだ。国会答弁でも法務省刑事局長が、みなし公務員は刑訴法上の「官吏」「公吏」には当たらないとの見解を示している。

 だが、国立大学法人職員には公務員同様の法令順守精神を求めたい。政府は公務員の告発義務について整理し、法改正すべきではないか。(渡辺浩)