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AKB総選挙 経済効果18億円も、またまたホテル不足 福岡市、ハード整備急務

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AKB総選挙 経済効果18億円も、またまたホテル不足 福岡市、ハード整備急務

AKB48の「選抜総選挙」に関連してJR博多シティで開かれている写真展。大勢のファンが訪れている

 福岡市中央区のヤフオクドームで6、7の両日、人気アイドルグループAKB48の「第7回選抜総選挙」開票イベントが開かれる。全国からファン数万人が押し寄せるだけに、市内の宿泊施設は満杯状態となり、福岡都市圏のホテル不足が改めて露呈した。海外進出を目指す芸能界にあって、アジアに近い福岡市の存在感は高まる一方だが、ハードの未整備が死角となっている。(九州総局 村上智博)

 「選抜総選挙」はAKB48の次のシングル曲を歌うメンバーを、ファン投票で決めるイベントだ。平成21年に始まり、会場に数万人が訪れるビッグイベントに成長した。

 この「選抜総選挙」が今回初めて、首都圏以外で開かれる。地方開催のトップバッターになぜ、福岡市が選ばれたのか。

 AKBの運営会社、AKS側は「いろいろとご縁がありまして…」と多くを語らないが、芸能評論家の肥留間正明氏は「地方開催で新たなファンを掘り起こすことができ、アイドルの“鮮度”も増す。地元のスポンサーも付きやすい。中でもヤフオクドームのある福岡市の集客力は抜群だ」と解説する。

 確かに平成23年の九州新幹線の全線開業によって、福岡市での公演に、九州南部からもファンが足を延ばしやすくなった。

 さらに現在、日本のアイドルなど芸能界は、アジアを中心に、海外市場の開拓が大きな課題となっている。とはいえ、直接進出してファンを増やし、イベントを開催するにはコストがかかるだけでなく、リスクも小さくない。

 その点、福岡市はアジアに近く、交通の便もよい。日本だけでなく海外からの集客に適した場所だといえる。

 肥留間氏は「実際、アーティストの知名度などにもよるが、福岡の公演には海外からファンがツアーを組んでやってくる。大勢の人間を収容できるライブ会場もあり、福岡市の地理的な優位性は高まっている」と強調する。

 ビッグイベントは、地元への恩恵も大きい。

 阪神タイガースの経済効果などで知られる関西大大学院の宮本勝浩名誉教授は、今回の「選抜総選挙」について、九州への経済効果を17億8千万円と弾く。

 宮本氏は、入場者を3万5千人、その半数が周辺で宿泊し、残りは日帰りするとの想定で試算した。

 グッズ代や交通費、宿泊費などで、宿泊したファン1人当たり約1万6千円を消費するとみられる。宣伝広告費などを加えた「直接効果」は約9億4500万円に上り、波及効果を含めると17億8千万円に達したという。宮本氏は「これほどの経済効果をもたらす選抜総選挙は、地域の活性化にも寄与する」と結論付けた。

 だが、福岡市側には、こうした大規模イベントを手放しでは喜べない事情がある。その最大のものが宿泊施設だ。

 今年3月、AKBの「選抜総選挙」福岡開催が発表されると、ヤフオクドーム近くのヒルトン福岡シーホークには予約が殺到した。1050室は、またたく間に埋まった。

 予約申し込みは、近隣の宿泊施設にも次々と及ぶ。福岡市ホテル旅館協会によると、「選抜総選挙」当日の博多や天神のビジネスホテルは、ほぼ満室となった。博多駅周辺のカプセルホテルもすべて満室という。

 同協会の担当者は「人気アイドルなどの大規模公演があるたびにこうなんです。今回も同じです」という。問い合わせがあれば、北九州市や久留米市でホテルを探すようアドバイスしている。

 こうしたホテル不足も、年に数度の公演だけなら、話題にはなっても大きな問題にはならない。だが、国家戦略特区「創業特区」の指定を受け、アジアのリーダー都市を目指す福岡市にとっては、大きな課題といえる。

 市は「創業特区」の取り組みの中で、MICE(国際会議や会社の研修旅行などの総称)誘致を目指す。すでに福岡市の国際会議開催件数は近年、全国の都市の中の2番目を続ける。

 だが、「地方創生」が叫ばれる中、全国の自治体がMICE誘致に一斉に動き始めた。国内だけでなく、海外都市との競争も視野に入れれば、ホテルや交通機関など一定のハード整備が欠かせない。

 福岡市の高島宗一郎市長も5月14日の記者会見で「福岡はMICEの拠点都市だが、ホテルや飛行機の予約が取りにくい。AKBにも福岡に多くの人を呼び込んでほしいが、渋滞などが非常に懸念されている」とこぼした。

 ホテル不足を一過性の現象と捉えるのではなく、長期的成長の課題として、官民一体での対策が急がれる。