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JR仙石線全線復旧 被災地鉄路の未来は… 復興の象徴…一方で、収益性などに課題 宮城

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JR仙石線全線復旧 被災地鉄路の未来は… 復興の象徴…一方で、収益性などに課題 宮城

 東日本大震災から4年2カ月を経て、宮城県で1、2の都市が鉄路でつながった。仙台と石巻を結ぶJR仙石線が30日に全線復旧。しかし、被災地ではいまだにつながっていない鉄路が存在し、復興のまちづくりと切っても切り離せない課題が残る。(高木克聡、上田直輝、岡田美月)

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 被災した鉄道では、岩手県の第三セクター「三陸鉄道」が昨年4月に全線再開、JR山田線の不通区間(宮古-釜石間55・4キロ)も三鉄への移管という形で再開が決まった。宮城県のJR石巻線も今年3月に全線で運転を再開。東京電力福島第1原発事故の影響を受けるJR常磐線は、帰還困難区域を含む富岡-浪江の復旧のめどは立っていないものの、全線再開の方針は決まっている。

 これに対し、BRT(バス高速輸送システム)で仮復旧しているJR気仙沼線、JR大船渡線の不通区間は、鉄路の復旧についての正式な協議は1年以上行われていない。

 気仙沼・大船渡両線について、JR東の冨田哲郎社長は「地元からの要望はあるが、安全の確保、まちづくりとの整合性、かかる費用をどうするか、将来的な利用者の見通しなど、いくつかの課題もある」と話す。

 JR東は6月27日から、気仙沼(宮城県気仙沼市)-柳津(同県登米市)間のバス運行区間を前谷地駅(石巻市)にまで延伸する。

 同県南三陸町の自営業、佐藤千里さん(27)は「仙台や石巻に行くとき利用する。(交通量自体少ないので)渋滞もなく、時間も正確。BRTがあれば特に困らない」と、4年以上も鉄道のない生活に慣れてしまった中でこんな本音も聞こえる。

 鉄道は単なる交通手段にとどまらず、それ自体が観光資源であり、駅はまちづくりの核にもなる。震災前と同じつながりを取り戻すことは、復興の象徴として、被災地に夢や希望を与えることになる。

 しかし、不通区間のほとんどはもともと赤字路線。人口流出が続く現状では収益性の確保は一筋縄ではいかない。

 それぞれの自治体が魅力あるまちをつくり、つながる地域同士が連携を深める。沿線住民は積極的に路線を利用する「マイレール」意識を高めることが一つの解。そしてそれは運行を再開した路線の活性化にも当てはまる。

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 ◆宮城知事「喜んだ顔、感無量」

 JR仙石線が全線復旧した30日、仙台、石巻、野蒜の各駅では記念式典が行われた。

 仙台市のあおば通駅を午前5時過ぎに出発した1番列車には早朝にもかかわらず、約100人の鉄道ファンらが乗車した。

 東松島市の野蒜駅では、大漁旗を掲げた住民らが集まり、列車が到着するたびに歓声が上がった。同駅の式典で、村井嘉浩知事は「被災者の方々の喜んだ顔がみられて感無量」と喜んだ。沿線では小中学生らが、列車に向かって手を振って運転再開を祝った。

 仙台駅では、JR東北線を一部経由して仙台-石巻間を最短52分で結ぶ「仙石東北ライン」の開業式典も。同ラインは電化方式の異なる路線を走るため、ディーゼルエンジン発電機と蓄電池を動力源とする新型車両が導入された。

 仙石線の路線カラーの青、東北線の緑、沿線の桜をイメージしたピンクの3色で彩られた真新しい車両に全国から集まった鉄道ファンらも興味津々。仙台の伝統芸能「すずめ踊り」に見送られながら、列車は多くの観光客らを乗せて石巻に向けて出発した。