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追い込み漁でのイルカ入手断念、JAZA脱退の声も 水族館関係者「悔しい」「理不尽」

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追い込み漁でのイルカ入手断念、JAZA脱退の声も 水族館関係者「悔しい」「理不尽」

 日本動物園水族館協会(JAZA)が、追い込み漁で捕獲したイルカの入手を断念し、世界動物園水族館協会(WAZA)への残留を決めたことに対し、県内の水族館からは21日、JAZAの決定を疑問視する声があがった。今後、各水族館で連携して繁殖に注力する考えだが、長期的な影響を懸念してJAZA脱退を検討する施設もあり、波紋が広がっている。

 「非常に残念で、悔しい」。下田海中水族館(下田市)で、20年ほどイルカを飼育してきた、営業課長の浅川弘さん(44)はこう漏らす。追い込み漁がWAZAの倫理規定に反するとの指摘に対し、「『残酷だ』というが、何が残酷なのか具体的な説明はないし、科学的な根拠もない。感情論で押し切られた感は拭えない」と悔しさをにじませた。

 同館では、飼育している14頭のイルカのうち、8頭を和歌山県太地町から入手している。今後は、繁殖に力を入れる方針だが、繁殖用プールの確保や繁殖技術の向上などの課題があるほか、水族館単位で繁殖を続けると、近親交配によって遺伝的な多様性が失われるリスクもあるという。

 浅川さんは「今すぐに影響はないが、将来的に自然界のイルカが必要になるときがくる。そうなればJAZAから脱退をせざるを得ないだろう」と話した。

 伊豆三津シーパラダイス(沼津市)では、現在飼育している19頭のイルカの大半を太地町や伊東市から調達した。施設を運営する伊豆箱根鉄道の広報担当、志村博さん(51)は「JAZAの決定に従う」と理解を示した上で、「これからは、繁殖のために水族館がイルカを貸し借りする『ブリーディング・ローン』が一層盛んになるのでは」と語った。

 あわしまマリンパーク(同市)は、1日3回のイルカショーを開催。この日も、人気者の「ルカ」が次々とジャンプを決めると、客席から大きな拍手が送られた。東京都杉並区から見物に来ていた主婦の荒井迪子(みちこ)さん(81)は「水族館で一番見たいのはやっぱりイルカ。今回の件は“日本いじめ”のようにも感じる」と話した。

 同施設で飼育している3頭のバンドウイルカは、いずれも太地町から購入。佐藤充館長(40)は「水産資源が持続可能な漁獲枠の中での合法な漁なのに、一方的な価値観の押しつけは理不尽だ」と憤りを隠さない。イルカの入手ルートが断たれることから、JAZAからの脱退も検討しており、佐藤館長は「WAZAの言いなりになるのではなく、日本の正当性をきちんと世界に発信していくことが必要だ」と語った。