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【きらり甲信越】山梨近代人物館オープン ゆかりの人物、故郷を再発見

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【きらり甲信越】
山梨近代人物館オープン ゆかりの人物、故郷を再発見

 明治時代から戦前にかけて日本や山梨の近代化に尽力した県ゆかりの人物を紹介する「山梨近代人物館」が先月、甲府市丸の内の県庁別館内(2、3階)にオープンした。県有形文化財に指定されている昭和5年建設の同館を県民や観光客に積極的に一般公開し、中心市街地のにぎわいの創出に役立てる計画の一環。山梨を「再認識・発掘・発見」する新たな情報発信施設となっている。

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 ◆先人50人を選定

 メーン会場となるのは2階の展示室。入り口部分は「導入展示室」として、農林業、政治・経済、福祉・医療、外交、郷土研究、教育、美術・文芸など幅広い分野で活躍した県ゆかりの先人50人を選定し、それぞれが残した言葉とともにモニターで紹介している。

 続く「人物紹介室」では、この50人の中から半年ごとに9人を特集する。現在は、第1回展示として「甲州財閥と近代日本を築いた甲州人」を開催中だ。阪急グループや宝塚歌劇団を作った小林一三や、日本初の地下鉄を実現した早川徳次(のりつぐ)、東武鉄道などの経営に関わり「鉄道王」と呼ばれる根津嘉一郎らの功績をタッチパネルで解説するとともに、関連資料も展示している。

 このほか、中央線の笹子隧道(ずいどう、トンネル)の歴史を紹介するコーナーや、昨年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」の主人公である翻訳家の村岡花子や、東京タワーを設計した内藤多仲(たちゅう)らについてクイズ形式で学べる映像もある。

 ◆正庁など復元

 展示室以外の見どころもある。3階には公式行事などを行う「正庁」と呼ばれた部屋、2階には旧知事室など、当時施工した清水建設(東京)が所蔵する写真を基に、格調高い内装を復元した。このうち、旧知事室は県章や県特産のブドウの図柄が施された特注品カーペットや、暖炉、書棚、花台、カーテンなどが再現されている。

 県庁別館は、西洋の古典的な様式を基調としながら幾何学的なデザインを多用し、東洋風の意匠を組み合わせることで、重厚な外観に壮麗な内部空間を生み出している。特に内部の中央階段の柱や床、壁の大理石は道志村から産出された大理石とされる。建物は映画のロケ地にも使われている。

 県教育委員会学術文化財課の中山誠二文化財指導監は「県内の方には、山梨の礎を築いた人物の功績を知ってもらい、今後の山梨をどうつくっていくかを考えるきっかけにしてほしい。県外の方には、日本の発展に貢献した甲州人たちがいることを新たな発見としてもらいたい」と話している。(頼永博朗)

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【用語解説】山梨近代人物館

 県庁別館の耐震改修工事に合わせて整備された。工事総額は約2億900万円、延べ床面積は約450平方メートル。観覧無料。開館時間は午前9時~午後5時。休館は第2、4火曜日。甲府市丸の内1の6の1 山梨県庁舎別館2、3階、(電)055・231・0988。