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【東北たてものがたり】警察資料館(宮城県登米市)

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【東北たてものがたり】
警察資料館(宮城県登米市)

 ■すり減った階段 実際の庁舎使用

 宮城県北部に位置する登米(とめ)市登米(とよま)町は、中央を北上川が流れる。江戸時代には城下町として栄え、明治時代に入ると一時、県庁が置かれ、急速に西欧化した。そんな時代の町並みが、いまも「明治村」として残されている。

 町を歩くと、かつて登米町に設置された水沢県庁記念館(旧水沢県庁舎)のように明治時代をしのばせる建物や、国指定重要文化財の教育資料館(旧登米高等尋常小学校校舎)など洋風建築のほか、寺院や武家屋敷も立ち並ぶ。

 その一画に、警察資料館(旧登米警察署庁舎・県指定有形文化財)はある。明治22年に建てられ、昭和43年まで79年間、県警登米警察署として使われた。施設を管理するとよま振興公社の山田忠則業務部長によると、実際の庁舎を使った資料館は全国唯一という。

 資料館は洋風の木造建築。同社によると、「明治中期の擬洋風建築として極めて珍しい建物で貴重な文化遺産」という。突き出した玄関の2階部分はバルコニーになっており、玄関屋根下の白い壁には今も金色の警察紋章が輝いている。

 昭和43年に登米署が新庁舎に移転した後は町所有となり、商工会が入居するなどしてきたが、61年に内装の復元工事がはじまり、62年に警察資料館として開館した。

 城下町として栄えた登米町では明治時代、北上川を使って、米や特産品を船で運送していた。資料館は当時の船着き場のすぐ近く。警察官が船着き場で事故がないか、不正がないか見張ってきたのだという。

 資料館敷地内には高さ約20メートルの鉄骨造りの火の見やぐらが残されている。大正15年に建設された火の見やぐらは当時、消防と警察が一体だったころの名残だ。今年2月には警察資料館の一部として、県指定有形文化財に追加で指定された。資料館内では当時の消防装束や、消火活動に用いた火消道具も展示されている。

 資料館に入ると、約30年前に実際に使われていたパトカーと白バイ2台が展示されており、乗車も可能。当時の様子を再現した署長室は、79年の歴史の中で47人の署長が使用してきた。

 各部屋には震災時の警察の活動を振り返るコーナーや、当時の手錠や拳銃保管庫などが展示されている。

 1階の奥には当時の留置場が再現してあり、中に入ることも可能だ。昭和38年ごろまで旧大河原署で実際に使われた留置場の正面部分もある。出入り口には木製と鉄製の閂が掛かる厳重な構造だ。

 2階の展示室に上がる階段は、足を乗せる位置がすり減り、つるつるになっている。資料館によると、多くの警察官が固い靴で上り下りしてきたためという。

 登米町では平成元年ごろ、明治時代の建築物が残る町を「明治村」と呼びまちおこしを始めた。年間約7万人の観光客が訪れていたが、震災後は約6割の約4万人に落ち込んだ。

 明治村は、じっくり観光しても2、3時間。明治時代が色濃く残る町並みを、ゆっくり歩いてみてはどうだろう。歩き疲れたら、現在はカフェとして営業している約400年以上前の武家屋敷「春蘭亭(しゅんらんてい)」の抹茶で一服するのもいい。(上田直輝)

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 【アクセス】宮城県登米市登米町寺池中町3。仙台駅からバスで約1時間40分。一般300円、高校生200円、小・中学生150円。水沢県長記念館など明治村の5施設共通観覧料は一般800円、高校生600円、小・中学生400円。(電)0220・52・2595。