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正倉院の毛氈素材は羊毛 科学的根拠で証明

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正倉院の毛氈素材は羊毛 科学的根拠で証明

 宮内庁正倉院事務所(奈良市)は、正倉院所蔵の敷物「毛氈(もうせん)」(フェルト)の素材が、従来考えられていたカシミヤに似た山羊(やぎ)の毛ではなく、羊毛であることが分かったと発表した。

 毛氈は、動物の毛に熱や圧力を加えて繊維をからませ、フェルト化したもの。紀元前から、中央アジアの遊牧民が敷物や壁掛けなどとして使用していた。正倉院に伝わる毛氈も中国などからの輸入品と考えられ、聖武天皇が愛用した華やかな文様の「花氈(かせん)」や「色氈(しきせん)」などが残っている。

 今回、新たにマイクロスコープや電子顕微鏡を使い、剥落した毛を縦に切った断面図も調査。結果、これまで「カシミヤに似た古品種の山羊毛」とみていた素材は、中央アジアや中国の羊の毛に類似していることが分かった。実際に試作してみると、カシミヤは耐久性に乏しく、フェルト化しにくいことも確認された。

 調査にあたった元大阪府立産業技術総合研究所皮革試験所研究員、奥村章さんは「実用品として世界中で使用されてきたフェルトは、素材が丈夫な羊毛が中心。正倉院の毛氈も羊毛と科学的根拠で証明されたことは大きい」と話した。

 調査結果は同事務所発行の「正倉院紀要」第37号に掲載。宮内庁の「正倉院ホームぺージ」でも閲覧できる。