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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】「少年法」年齢引き下げ 共通認識を

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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】
「少年法」年齢引き下げ 共通認識を

 川崎市の18歳少年らによる中学1年生リンチ殺人、名古屋市の19歳女子大生による老女殺害など、未成年者による凄惨な事件が相次いでいます。動機も「イラッとした」「人を殺してみたかった」など、到底、理解不能なものです。

 未成年者が罪を犯しても、「少年法」によって刑罰が軽くなるように配慮されており、少年の保護と立ち直りに主眼を置いた処遇がなされます。

 しかし、これまでも未成年者による凶悪事件が頻発するたびに、少年法は厳罰化の方向で改正されてきました。また、折しも、選挙権を現状の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法の改正が議論されており、少年法における「少年」の定義も「18歳未満」に引き下げるべきだ、という声が大きくなっています。実際、各種の世論調査でも、少年法の適用年齢引き下げについては、「賛成」が約8割で、「反対」を大きく上回っています。

 これに対して、日本弁護士連合会やその他の人権団体は、「たとえ他の法律で『18歳以上は成人』と扱うようになったとしても、少年法は現在のまま『20歳未満』とすべきである」と猛烈に反対しています。

 理由は、「少年事件のうち18歳、19歳の少年が被疑者となる事件は約4割を占めており、18、19歳はまだ精神的・社会的に未成熟で、対象年齢を18歳未満に引き下げれば、少年の立ち直りや成長支援の機会を奪い、再犯防止を阻害してしまう」ということです。しかし、「18、19歳が精神的・社会的に未成熟」かどうかは大いに議論の余地があるでしょう。

 少年法は、少年の「可塑(かそ)性」を重視しています。可塑性とは、成長によって人格が柔軟に変化していくことであり、悪く言えば周囲に影響されやすい、良く言えば立ち直りが期待でき更生の余地が大きい、ということです。私も少年法の理念は大切だと思いますし、少年に可塑性があることも否定しません。実際に少年事件を担当して、立派に立ち直った子供を何人も見てきました。

 しかし、事の本質は、「可塑性」の法律上の線引きを何歳までにするのが妥当なのか?ということです。「成人」年齢をどうするかは、最終的には、その国の文化や歴史、国民の価値観によって決まるものです。昔の成人(元服)は15歳でしたが、そこまで行かなくとも、今の日本では、高校卒業時の年齢であればもう立派な大人でしょう。前述の世論調査の結果も、まっとうな国民感覚に合致していると思います。

 少年法の厳罰化や年齢引き下げに反対する人は、「厳罰化や年齢引き下げによって少年犯罪が減るという証明はない。フィクションだ!」と批判します。しかし、「18歳、19歳には可塑性があり、20歳を超えると可塑性がない」ということも、結局はフィクションではないでしょうか。

 むしろ、いつまでも子供扱いし、モラトリアム(猶予期間)を与えるのではなく、「18歳以上は立派な大人。自らの行動に責任が伴うことを自覚せよ」と、しっかりと家庭教育、道徳教育を充実させ、社会全体で「18歳以上は大人である」という共通認識を広める方向に転換すべき時期に来ています。そして、「子供は大人の鏡」です。子供だけが凶悪化することはあり得ません。成人年齢を引き下げる、ということは、我々大人にも、その自覚と責任が問われているのです。

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【プロフィル】堀内恭彦

 ほりうち・やすひこ 昭和40年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校、九州大学法学部卒。弁護士法人堀内恭彦法律事務所代表。企業法務を中心に民事介入暴力対策、不当要求対策、企業防衛に詳しい。九州弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任。日本の伝統と文化を守る「創の会」世話人。趣味はラグビー、ゴルフ。