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大和幼稚園プール事故、元園長に無罪判決 元教諭との責任評価に差

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大和幼稚園プール事故、元園長に無罪判決 元教諭との責任評価に差

 平成23年7月、大和市大和東の学校法人西山学園大和幼稚園で伊礼貴弘ちゃん=当時(3)、同市鶴間=が溺死した事故から約3年8カ月。司法の判断が31日、新たに示された。業務上過失致死の罪に問われ、無罪判決が言い渡された当時の園長、西山淳子被告(67)をめぐる公判では、園の管理責任者だった西山被告の責任が主な争点となったが、無罪判決の内容は現場で指導していた担任教諭に比べて評価に大きな差があることを示す結果となった。(岩崎雅子)

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 事故は、園児らのプール活動終了直前に発生した。新任だった担任の女性教諭(24)=同罪で罰金50万円が確定=が遊具の片付け作業をしている間に、貴弘ちゃんがプール内でうつぶせになって倒れているのを別の女性教諭が発見した。

 公判の主な争点は、担任教諭に対する片付け方法の教示義務を怠った過失の有無、園の教諭らによる複数人によるプール活動の監視体制の構築が必要だったか否か-の2点だった。

 検察側は、西山被告が事前に「プールの壁際に背を向けて、道具を片付けるかごを身体の前に持ってくる」などといった具体的な片付け方法を女性教諭に教示する義務があったと主張。女性教諭の他に、監視に専念する者を配置する義務も存在するとした。

 西山被告側は、片付け時の方法を教示したり、複数人による監視体制を取るといった義務はなかったとし、無罪を主張してきた。

 双方の主張に対し、横浜地裁の近藤宏子裁判長は31日の判決で、「女性教諭には園児らの行動に十分注視せず、溺れた被害児童を見落としたまま放置した過失が認められ、片付け方法を教示することで事故を回避できたとはいえない」と指摘。教示義務の有無についての明言は避けた。

 複数監視体制に関しては「当時、幼稚園の水遊び用プールについて、監視を行う者を配置すべき規定は存在しなかった」と指摘。「大和幼稚園のプールは1人で視野が確保でき、(女性教諭単独という)監視体制が当時の平均的な幼稚園の基準を著しく下回るとはいえない」とし、「教示懈怠(けたい)の過失も複数監視体制の構築懈怠の過失も、刑事法上の犯罪の証明がない」と無罪の理由を述べた。

 西山被告の代理弁護人は公判後、「子供の安全確保については、学校現場だけに押しつけるのではなく、行政を含めた社会全体でどのように担っていくのか考えていく問題だ」とのコメントを出した。