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熊本・多良木町、県立高の廃校方針に猛反発「人口減少が加速する」

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熊本・多良木町、県立高の廃校方針に猛反発「人口減少が加速する」

 人口1万人余りの熊本県多良木町が県立高校の存続をめぐって揺れている。県教育委員会の廃校方針に対し「人口減少が加速する。安倍政権の掲げる地方創生にも逆行する」と町ぐるみで反対し、徹底抗戦の構えを崩さない。高校の再編は全国で進むが「地域が衰退する」との懸念は根強く、地元以外からの生徒集めに奔走する学校もある。

 ◆「適正規模に満たず」

 多良木高は大正11(1922)年、組合立多良木実科高等女学校として出発し、その後、県に移管された。野球部が強豪として知られる。昭和49年には計387人の生徒がいたが、今は1学年3学級計230人で、近年は定員割れが続く。

 町を含む県南部の球磨地区全体でも平成元年に約1800人いた中学卒業生が、25年までにほぼ半減した。県教委は26年10月、多良木高の学科を別の町の高校に移し、31年3月で事実上の廃校とする統廃合計画を公表した。

 県教委がこだわるのは、1学年を4学級以上とする学校の「適正規模」で、担当者は「生徒同士の切磋琢磨(せっさたくま)には一定の規模が必要」と強調する。

 ◆「少子化に合わせた教育必要」

 だが、町は「少子化に合わせた教育も必要」(松本照彦町長)と反発し、周辺住民を含む3万人超の反対署名を提出した。住民は「小規模校は教育環境が劣るというのは根拠がない」「高校は町の人材育成の礎」と訴える。

 地域を挙げた反対の背景には、急速な人口減がある。町は26年、県外から転入した児童1人のために、休校していた小学校を7年ぶりに再開させるなど、子育て世代の定住促進に力を注ぐ。唯一の高校がなくなれば、こうした努力が水泡に帰す、と心配する。

 県議会は13日、多良木高の統廃合などを盛り込んだ27年度予算案を可決。しかし、町は入学者を増やそうと、今春の新入生に支援金5万円を支給する方針を決めるなど対決姿勢で、県立以外の高校として存続を模索する声も出始めている。

 ◆各地で進む再編 各地で高校再編が進むのは、多くの教科への教員配置や、施設維持など財政負担が大きいためだ。一方で、過疎地への配慮を試みたり、都市部からの生徒呼び込みに動いたりする地域もある。

 岩手県教委は、改定中の再編計画指針に「小規模校への対応は慎重に検討」と明記するという。県立高の4割以上は1学年3学級以下の小規模校。担当者は「一定の統廃合は既にしており、今後の再編計画を具体化する際は地元の声を十分聞く」と話す。

 鹿児島県最南端の離島、与論町の教委もこの春から東京や関西で県立与論高を宣伝する冊子を配布し、生徒獲得を目指す。