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【ZOOM】危険ドラッグ規制条例 指定薬物情報を共有 埼玉

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【ZOOM】
危険ドラッグ規制条例 指定薬物情報を共有 埼玉

 危険ドラッグの販売や所持を自治体が独自に規制する動きが全国で広がる中、県でも13日、議員提案された危険ドラッグ規制条例案が県議会で可決された。今年1月には川口市のマンションで国内最大規模となる危険ドラッグの「工場」が摘発。県は規制すべき薬物情報を主体的に発信することで、危険ドラッグの「拠点」の汚名返上と、化学構造の一部を変えた新たな薬物が出回る「イタチごっこ」状態の打開を狙う。

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 県などによると、規制条例を独自に定めている自治体は、昨年末時点で東京都や大阪府など計15都府県。13日には埼玉のほかに神奈川、千葉でも規制条例案が可決され、首都圏で「危険ドラッグ包囲網」が形成された格好だ。

 各自治体が条例で指定した薬物はその自治体でしか規制されないため、都の条例で規制されている薬物が、条例がない埼玉などの隣県では規制を受けず、製造や販売が横行する危険性があった。1月14日には、中国から危険ドラッグを密輸したとして、神奈川県警が薬事法違反(指定薬物輸入)容疑で都内の男らを逮捕。拠点の川口市のマンションには、危険ドラッグや全国50以上の販売店のリストなど約4千点があり、国内最大規模の工場だったとみられる。

 ある県議は「東京でドラッグをさばけない業者にとって、埼玉が『受け皿』として認識されていた可能性がある」と指摘する。

 こうした状況を受け、厚生労働省は昨年、改正医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、危険ドラッグの疑いがある商品の販売などを全国で禁止する広域規制を実施。条例を定める自治体が独自に規制した薬物の情報を基に、同じ薬物を国でも指定し、全国一律に規制できるようにした。

 今回可決された県の規制条例は、県議会最大会派の自民が議員提案。同法の対象外となる薬物を「知事指定薬物」として規制し、製造や販売、使用などを禁止する。自民県議の一人は「県が規制した薬物を、ほかの自治体に積極的に情報発信する必要があると考えた」と説明する。警告に応じない違反者には2年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。

 また、教育を通じて若い世代を中心に薬物の危険性を正しく理解させることや、医療機関、依存者のリハビリを支援するNPO法人「埼玉ダルク」などとともに、薬物依存者の回復へ連携することが盛り込まれた。

 県薬務課によると、昨年4月時点で県内に16店あった危険ドラッグの販売店は、12月にはゼロになった。ただ、業者の一部はインターネットなどで販売を続けているとみられ、「完全規制」までは道なかば。条例は4月から施行され、同課の担当者は「条例でこれまで受け身だった薬物規制を主体的に行えるようになる。他の自治体とも連携して規制を強化していきたい」と話している。(佐藤祐介)