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足元に注目、大阪ご当地マンホール アイデア勝負、ブーム拡大!?

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足元に注目、大阪ご当地マンホール アイデア勝負、ブーム拡大!?

 最近、道を歩いていて、マンホールの蓋の柄が大阪城に変わっているのに気がついた。イラスト風のこれらの蓋は「デザインマンホール」と呼ぶらしい。全国各地で名所名物をデザインした“ご当地マンホール”が出回っており、写真集やサミットまであり、海外からの見物者もいて、マンホールに萌える“マンホーラー”が多数存在しているとか。人々を魅了しているマンホールの蓋の不思議に迫った。

 ◆70年代から流通

 大阪府の都市整備部に問い合わせて、メーカーを紹介してもらった。

 国内最大手のマンホール蓋のメーカー「日之出水道機器」(本社・福岡市)の広報部の山田秀人さんによると「明確ではないがデザインマンホールは、70年代後半から全国に流通し、80年代に広がった」と説明する。

 蓋はいわゆる“鋳物”で、釣り鐘と同じ要領で鋳型に鉄を流し込んで焼き上げて製作。カラーの場合はその後、樹脂に色を付けたものを混ぜ合わせ、へこみ部分に手作業で流し込んでいく。流通価格は、車道で約6万5000円。色付き約10万円。耐久年数は車道15年、歩道などそれ以外は30年と基準が定められている。大きさは直径約60センチで、重さは約40キロもある。蓋が下に落ちる心配がない丸形が主流だ。

 ◆大阪市は大阪城

 そして、気になるデザイン。役所とメーカーの話し合いで決まるパターンが7割。このほか役所から「城や名物を入れてほしい」などとオーダーが入り、メーカーがデザインするケースや公募、デザイナーに発注-などの方法もあるという。

 大阪市建設局下水道河川部によると、市内に設置されるマンホール蓋は約18万枚。その10分の1にあたる約1万9000枚がデザインマンホールで、さらにその10分の1の約1900枚がカラーという。

 市内の蓋の絵柄は「大阪城」で統一。平成6年の市下水道事業100周年を記念し、一般公募で集まった615点の中から採用された。古い蓋から順にこのタイプに入れ替わっている。だが「国際花と緑の博覧会」が開催された平成2年にも、「サクラ」と「パンジー」を組み合わせたデザインマンホールが一部設置され、現在は両デザインが混在している。

 ◆名所や名物PR

 府内各市町村にもそれぞれご当地マンホールがある。たとえば豊中市の蓋は非常にユニークで、昭和39年に地元・待兼山で発見された45万年前に生息したとされる「マチカネワニ」がモチーフ。昭和61年の市制50周年を記念してキャラクター化され、平成2年にPRと景観づくりの一環として、マンホールの柄に取り入れられた。現在約100枚を設置している。

 一方、東大阪市は市の花「ウメ」のデザインに加え、ラグビーの絵柄も取り入れて「ラグビーの町」をアピール。花園ラグビー場周辺に特化して設置しているという。

 このほかに、「箕面の滝」(箕面市)▽「古墳」(藤井寺市)▽「菊」と「三十石船」(枚方市)-なども。ちなみに、全国には「広島カープ」(広島市)▽「恐竜」(福井県勝山市)▽「名探偵コナン」(鳥取県北栄町)-などユニークなものがたくさんある。

 ◆大切な役割

 府のデータでは、下水道普及率は昭和52年に50・6%、平成2年には65%と少しずつ伸びていたが、その後、急速に普及。現在は大阪市を含めて95・3%に達している。「下水道整備が急速に進んだ時期と、デザインマンホールが出始めた時期は重なる」と、都市整備部の西俊光さんは説明する。

 下水道管の詰まりは、悲惨な事態が予想されるため、点検や清掃のためのマンホール(人が入る穴)は欠かせない。約70メートル間隔でマンホールを設置。さらに固形物が詰まりやすい曲部分にも取り付けられる。蓋を至るところで見かけるのはこのような事情がある。

 ◆とっておきの場所

 府には「この絵柄はどこに行ったら見られますか?」などの、蓋に関する問い合わせが昨年頃から急増中。このような場合に案内する場所があるという。

 平成2年に、花博の汚水処理と流域下水道のPRを兼ねて建設された施設「下水道ふれあいプラザ」だ。下水処理場「鴻池水みらいセンター」(東大阪市)の敷地内にある。

 府内全域のデザインマンホール約50個を地面に埋め込んだ状態で展示している。1カ所にこれほど大量の蓋を常設展示している場所は全国でも珍しく、蓋のブームを背景に、問い合わせや見学者が急増。その人気は海外にまで届いているのか、最近では韓国人観光客も訪れた。

 府東部流域下水道事務所の片木智生さんは「蓋の展示は予約すれば誰でも見学できますが、これまでは小学生の社会見学などを想定しており対応は平日のみ。ただ、希望者がもっと増えたら、土日も開放する方向で検討したい」と語る。

 また、府の流域下水道事業は来年が50年目の節目。これを機に府は蓋の人気にあやかり、下水道を大いにPRしたい構えで「蓋を使ったイベントや、企業商品にマンホールの絵柄を使ってもらう計画もあります」と明かしてくれた。

 ◆サミットや写真集も

 昨年3月には初めて、東京・秋葉原で、マンホールメーカーやマンホーラー、行政関係者、写真家、ジャーナリストらが集まり熱いトークを繰り広げた「マンホールサミット」も開催。メディアに大きく取り上げられて話題になり、ブームに結びついた。また、マンホールを分類ごとにまとめた写真集「デザインマンホール100選」(アットワークス)の出版も。

 マンホールの総合サイト「ひらけ!マンホール」も昨年2月に登場。全国各地のマンホール蓋の投稿写真をはじめコースターやバッグ、蓋のミニチュアなどの“マンホールグッズ”を紹介している。日之出水道機器の山田さんも「デザインマンホールには、日本人の繊細さと丁寧さが表れており、海外からの注目も集め始めている」と話す。

 果たして日本の新たなサブカルチャーとして認められる日は来るのか。今後の展開に注目したい。