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「ノリ養殖の酸処理剤で海が死ぬ」 有明海漁業者らが国提訴

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「ノリ養殖の酸処理剤で海が死ぬ」 有明海漁業者らが国提訴

提訴後に記者会見し、「有明海の不漁はノリ養殖の酸処理剤が原因」と主張する原告団ら

 有明海で長年続く魚介類の不漁はノリ養殖で使われる殺菌用の酸処理剤が原因として、福岡、熊本、佐賀、長崎の4県の漁業者ら約200人が5日、使用を禁止しない国に1人当たり10万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。4月中旬以降、800人の漁業者らが追加提訴する予定という。

 ノリ養殖では生産量や品質を上げるため、ノリが付着した網を酸処理剤に浸し、病原菌を殺菌した上で再び海に戻す作業を繰り返す。水産庁は昭和59年、酸処理剤の使用について「自然界で分解されやすい有機酸を使用し余った分を海中投棄しない」などする通達を出した。

 これに対し原告側は「酸処理剤の99・9%は回収されずに海へ流出し、海底に蓄積された酸処理剤の有機物が魚介類が住めない環境を生み出し、貝類漁獲高の減少を招いた」と指摘し、「使用を禁止しない国は漁業権を侵害している」と主張する。

 有明海の不漁をめぐっては「国営諫早湾干拓事業が原因」と訴える佐賀県の漁業者が潮受け堤防排水門の開門を求めている。今回の訴訟の結果が諫早問題に影響を与える可能性もある。

 提訴後に記者会見した原告団代表で漁師の渡辺年勝氏は「海に異物を投入することはおかしく、やめない限り有明海は死の海になってしまう」と語った。