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葛飾北斎の幻の肉筆画「墨田区民の宝になる」

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葛飾北斎の幻の肉筆画「墨田区民の宝になる」

 「区民の宝になる」-。約100年間、所在不明だった葛飾北斎の肉筆画「隅田川両岸景色図巻(けしきずかん)」が、北斎ゆかりの墨田区で展示される見通しとなった。区では「描かれているのは郷土。里帰り以上に意義深い」と、美術作品としての価値に加え、郷土史研究からも貴重な資料になると、期待が高まっている。

 区文化振興課によると、隅田川両岸を描いた作品は数多いが、大半は台東区側が描かれている。しかし、購入が事実上決まった「隅田川両岸景色図巻」は、台東区側から墨田区側を描いているのが特徴。現存する北斎の作品の中では、一番長い絵巻物とみられ、当時の同区の景観が描写されており、郷土史研究の面からも注目されるという。

 2008年にロンドンのオークションで出品された時期は、区でも来年秋に開館予定の「すみだ北斎美術館」の建設構想が浮上した時期と重なる。「展示の目玉に」と購入を目標に掲げ、すぐに情報収集を開始。同館建設が具体化し、オーナーの国内の画廊と交渉を進めてきた。

 購入資金は、3人の篤志家による寄付金を充てるという。近く、区議会に購入議案を提出し、可決されれば正式に売買契約を結ぶ。

 北斎は宝暦10(1760)年に本所割下水(わりげすい)付近(現・同区亀沢付近)で生まれ、90年間の生涯の大半を地元で過ごしながら優れた作品を数多く残した。

 同美術館は、区が郷土の偉人を顕彰するために整備。敷地面積は1254・7平方メートル、延べ床面積3326・8平方メートル、地上4階地下1階で、北斎の作品を紹介するほか、展覧会なども予定されている。