産経ニュース

宇部に120万キロワット石炭火力 Jパワーなど3社

地方 地方

記事詳細

更新


宇部に120万キロワット石炭火力 Jパワーなど3社

 電源開発(Jパワー)と大阪ガス、宇部興産の3社は、山口県宇部市に出力120万キロワット級の発電効率の高い石炭火力発電所を建設する。原発の新規制基準が施行され、新たな原発建設が困難になっている中、電力全面自由化(平成28年度)による競争激化に対応する狙いがある。エネルギー企業を中心に、火力発電所の新設計画が相次いでいる。 (津田大資)

 3社は共同出資の新会社「山口宇部パワー」を3月13日に設立する。出資比率はJパワーと大阪ガスがそれぞれ45%、宇部興産が10%。宇部興産の石炭貯蔵施設の隣接地に建設し、投資額は3千億円程度になるとみられる。

 平成35年ごろに60万キロワット級1基で運転を始め、37年をめどに同規模の2基目の稼働を目指している。

 3社は大手電力会社への卸売りや、卸電力市場を通じた新電力などへの売電を検討。商用化されている石炭火力の中で最も発電効率の高い「超々臨界圧方式」を採用するという。

 Jパワーは平成20年に大間原発(青森県大間町)建設に着工したが、東京電力・福島第1原発事故を受けて中断した。現在は工事を再開しているが、規制委の安全審査が長期化するとみられている。また、津軽海峡を挟む対岸の北海道函館市が建設差し止め訴訟を起こしており、稼働時期は見通せない。

 28年度には、家庭向け電力の小売りも自由化され、発電事業者間の価格競争が激化する。原発は懸念材料が多いだけに、発電コストを抑制できる高効率な火力発電所を自前で用意するなど、体制整備が不可欠といえる。

 こうしたエネルギー事情を背景に、エネルギー企業は火力発電所の建設計画を相次いで打ち出している。

 九州電力の原発は、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発1~4号機(佐賀県玄海町)の計6基ある。だが、運用開始から40年近い玄海原発1、2号機の再稼働は困難とみられ、再稼働が見込めるのは残り4基だけだ。新設についても、厳しい新規制基準をクリアする必要があり、ハードルは高い。

 さらに既存の火力発電所は原発の代替でフル稼働状態が続き、老朽化が深刻さを増している。

 このため、九電は石炭火力の松浦発電所(長崎県松浦市)に2号機(94万キロワット)を新設、平成32年度の運用開始を目指している。

 総合エネルギー企業を目指す西部ガスも、北九州市若松区の臨海部に液化天然ガス(LNG)火力発電所を建設し、火力発電に参入する。

 発電所は、大阪ガスを含む複数社による共同出資で運営する。32年度から順次稼働を始め、最終的に160万キロワットまで拡大させる計画だ。昨年11月には、発電所建設地の隣に、国内最大級のLNG受け入れ施設「ひびきLNG基地」(北九州市若松区)を完成させ、燃料調達費削減などのメリットが生まれた。

 今後、高効率の火力発電所建設の動きが活発になる可能性がある。価格競争激化は避けられず、各社は発電コストを抑えることで、エネルギー大競争時代での生き残りを図ろうとしている。