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再稼働のボールは規制委へ 鹿児島

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再稼働のボールは規制委へ 鹿児島

竜巻対策として鉄骨とネットで覆われた川内原発のタンク。左後ろは原子炉格納容器

 九州電力は27日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)について、安全対策を施した機器の詳細設計図など工事計画の補正書を、原子力規制委員会に再提出した。規制委から膨大な修正を求められ、補正書作りは難航していた。再稼働時期を左右するボールは、再び規制委に投げられたといえる。電気料金再値上げや供給不安を防ぐためにも、規制委の迅速な対応が求められる。(津田大資)

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 川内原発1、2号機は昨年9月、規制委の審査で、原発の新しい規制基準に合格した。直後に規制委は、九電側が審査申請時に提出していた工事計画について、不備や不足があるとして補正を求めた。

 九電は要求に応じ、2回にわたって補正書を提出したが、いずれも規制委から「不足がある」と突き返されていた。規制委・規制庁側の指摘は、竜巻による飛来物から設備を防護する金属ネットの強化など安全対策に関わるものから、文書構成や表現の統一まで多岐にわたった。

 修正には膨大な事務作業が必要で、九電は今年2月から東京都内の担当社員260人とは別に、福岡市内の本社でチェックなどを担う社員を100人増やした。九電がこの日提出した工事計画補正書は、1号機だけで3万ページに上った。

 九電幹部は「九電にとっても、規制委側にとっても、審査基準が変わって初めての経験であり、意思疎通もうまくいかなかった」と振り返る。

 九電が手を尽くした工事計画補正書の再提出によって、九電だけでなく経済界が待望する原発再稼働に向け、手続きが一歩進んだ。再稼働最後のハードルとなるのは、「使用前検査」だ。

 規制委は、補正書の内容を認可した後、現地で原発の機器や態勢が書類通りになっているかを詳細に調べる。使用前検査の中では、原子炉を動かし始め、徐々に出力を上げる。問題がなければ、発電を開始する。

 だが、早期再稼働をめぐっては、規制委や規制庁の対応が不安材料だ。

 九電は25年7月、川内原発、玄海原発3、4号機の安全審査を申請した。それから1年半、規制委・規制庁側の姿勢は「羮に懲りて膾を吹く」といえるものだった。電力会社側との信頼関係も築けず、審査には不必要なまでに時間がかかった。

 記者会見した九電原子力コミュニケーション本部の田尻浩昭・環境広報グループ長は「工事計画補正書の認可が出ればすぐに使用前検査の申請をしたいが、認可までや、使用前検査にどのぐらい時間を要するかはまったく分からない」と述べた。

 九電は原発全停止で、代替の火力発電所の燃料費が膨れ、財務状況が悪化した。平成27年3月期決算も4年連続の赤字が確実となっている。