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モビリティ・マネジメント導入へ長野県が官民協働で検討会

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モビリティ・マネジメント導入へ長野県が官民協働で検討会

 人口減少とそれに伴う鉄道・バスの利用者減少、北陸新幹線金沢延伸と北しなの線開業など、県内の公共交通を取り巻く環境が大きく変化する中で、県は新しい交通政策の考え方である「モビリティ・マネジメント(MM)」の導入で公共交通の利用促進を図ろうと、国や市町村、交通事業者と官民協働の検討会の設置を決めた。県交通政策課は「行政・事業者から一方的に示していた公共交通利用促進の働きかけを、利用者一人一人を巻き込んで自発的な利用を促す仕組みに大きく転換し、公共交通機関の生き残りを図りたい」としている。

 MMは国内では十数年前から広がり始めた交通政策で、過度に自動車に頼る状態から、公共交通などの利用によって地域の交通流動を改善していく取り組みのこと。個々の人間や組織、地域の意識と行動が自発的に変化することを目標に、コミュニケーションを主体にさまざまな働きかけを行っていく政策手法だ。

 この施策については、リニア中央新幹線が開業する予定の平成39年を目標年次として、県が25年3月に策定した「新総合交通ビジョン」にも積極的な導入を明記。県の将来像の一つとして「環境と調和した交通システムの構築」を目指している。

 MMは都市部の交通政策では有効だが、人口密度が低く集落が点在する農村部や中山間地域などでの実現性は未知数。同課の堀田文雄課長は「これまでは北陸新幹線の延伸と北しなの線開業の準備、リニア新幹線への対応に追われてきたが、公共交通の状況はいよいよ待ったなし。供給者側の視点しかなかった公共交通のあり方に、初めて利用者側の視点を取り入れ存続を図りたい」と強調、「今はまさに公共交通機関利用促進策の転換点にある」との認識を示している。

 国や県、市町村、交通事業者などでつくる県公共交通活性化協議会が19日、長野市内で開いたMMをテーマにした会合では、検討会の設置を決めるとともに、NPO法人「SCOP」(松本市)の富樫慎主席研究員ら都市政策の専門家などが、県内でのMM導入の可能性について説明。富樫氏は「マイカー利用者への働きかけは諦め、高齢者など“交通不便者”のみをターゲットに割り切るのも一つの考え方だ」と指摘。「中山間地でのMMは非常に高いハードルだ」とした上で、地域ごとに路線バスへの導入に取り組む重要性を強調した。

 検討会は行政と交通事業者ら20数人の実務者で構成。今後、10月にかけて5、6回程度会合を開催し、MM事業の実施が効果的な地域や対象を検討するほか、施策を展開する上で中心となるコミュニケーションの手法などを研究する。その結果を受けて、県は11月にも検討結果を公表、28年度予算への反映を目指す方針だ。