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新潟県原発技術委が福島第1を現地調査 水素爆発の発生源検証へ

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新潟県原発技術委が福島第1を現地調査 水素爆発の発生源検証へ

 原発の専門家でつくる県の諮問機関「技術委員会」は東京電力福島第1原発事故を独自に検証するため、同原発1号機(福島県大熊町)に入り、原子炉建屋内部の破損状況を確かめた。地震による重要機器への影響の有無を調べるのが狙い。座長の中島健・京大教授は「記録した写真やビデオ映像を分析して今後の議論に反映し、最終的に柏崎刈羽原発の安全管理に役立てたい」と述べた。撮影した動画などは後日公開する。

 技術委の視察は、平成24年12月以来2回目。1号機原子炉建屋内の調査は初めて。現場を確認した5人の委員は「想像を絶する状態」「大きい事故と再認識」などと驚きを口にした。

 現地調査の焦点の一つは、1号機原子炉建屋で水素爆発が起こるまでの経緯と発生源だ。

 東電によると、津波で冷却機能が失われ炉心が損傷した際に発生した水素が「原子炉格納容器の貫通部」などから発生し原子炉建屋の5階にたまって水素爆発が起きたとしている。

 これに対し技術委の一部委員は、原子炉を冷やす4階の非常用復水器(IC)の配管が、地震によって損傷し水素が漏れた可能性があると指摘。その提起を根拠付けようと、4階の機器や配管などの破損状況を確かめた。調査後、地震によるIC配管損傷の可能性について中島座長は「すぐに結論は出せない」とし、ICへの付着物などを分析する方針だ。

 東電の川村慎一・原子力設備管理部長は「4階の損傷は5階とつながる開口部付近の保温材やダクトに集中しており、IC配管の大きな変形や破断を裏付ける証拠が見つかっていない。5階が主要な爆発地点だ」との見解を繰り返した。

 今後の検証で「安全上の重要機器が地震で影響を受けたものと認められない」という東電の主張に疑義が生じると、原発耐震設計の見直しにつながるとされる。

 福島原発の周辺地域も新潟の動きに注目している。

 原発事故でほぼ全域が「避難指示解除準備区域」となり、全住民が避難している楢葉町の松本幸英町長は「今年春以降の帰還」を目指しながら、「廃炉作業を含め福島原発の現状をきちんと把握し指摘したい」と施設監視に注力している。

 新潟の技術委員会に対しては「原発の安全神話が崩れた今、立地自治体は課題を徹底的に検証せざるをえない。(新潟の検証は)意義がある」と述べた。

 いわき市で生活しながら楢葉町役場前の仮設共同店舗で「武ちゃん食堂」を夫妻で運営する佐藤美由紀さん(50)は、技術委員会について「他県から言われれば(福島原発を巡る課題の)気づきにつながる」と検証に期待を示した。