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福岡市中心部へは「乗り継ぎ」で 西鉄バスが路線大改編

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福岡市中心部へは「乗り継ぎ」で 西鉄バスが路線大改編

多数の路線バスが行き交う福岡・天神=福岡市中央区

 国内最多の路線バスを運行する西日本鉄道が、福岡市で路線の大改編を進めている。郊外と天神・博多など市中心部を直通で結ぶ路線が数多くあったが、「中心部に入る手前」に乗り継ぎ拠点を設置し、都心に入るバスを減らそうとしている。路線改編により事業全体の効率化を進め、赤字路線も多い郊外のバスネットワーク維持を目指す。

 西鉄グループはバス保有台数(2855台)と年間乗客数(2億6845万人)で日本一を誇る。乗降客が多い天神では、100を優に超える路線が入り乱れる。

 西鉄は昨年11月、福岡都市圏の西部エリアと天神を結ぶ路線を再編した。

 まず天神の西5キロの藤崎バスターミナル(早良区)を乗り継ぎ拠点と設定した。その上で、四箇田(しかた)団地(早良区)や野方(西区)方面から天神に直通していた路線の6割を藤崎終点に変更した。乗客はバスを乗り継いで天神に向かう。

 乗り継ぎがスムーズにいくよう、藤崎バスターミナル内に、運行状況をリアルタイムに知らせる案内ビジョンを5台設置した。

 こうした路線改編は平成25年11月に始まった。

 弥永団地、老司(いずれも南区)や同県那珂川町など南部エリアと、天神を結ぶ路線から着手した。乗り継ぎ拠点は、天神の南4・5キロの西鉄大橋駅前。直通路線の大半を大橋止まりに変更した上で、大橋~天神を朝のラッシュ時に4分間隔でピストン輸送するバスの運行を始めた。

 改編の結果、西部エリアと天神を結ぶバスを1日あたり約110便、南部発着は約150便減らせた。福岡市中心部の渋滞緩和に貢献しただけでなく、常態化していた遅延が、ほぼ無くなったという。

 ◆人口減少へ対応

 路線改編の根本には、採算性の低い郊外路線を維持し、郊外住民の生活の足を守る狙いがある。

 路線バスは“儲かる事業”ではない。平成25年度のバス事業は1800万円の営業赤字だった。特に郊外は、赤字区間が少なくない。西鉄はこれまで、減便によってコスト削減を図ってきた。

 だが、地方の人口減少が想定される中で、バス路線維持に発想の転換を迫られた。「郊外を切るのではなく、都心部を効率化することにした。当たり前だと思っていた『都心部へ直行』をやめた」(自動車事業本部営業第一課の阿部政貴課長)という。

 一方、乗り継ぎが必要となったことで、乗客は不便を感じる。バス離れを防ごうと、西鉄のICカード「ニモカ」に100ポイント(100円相当)を付けるサービスを始めた。

 こうした効果もあり、大橋~天神間の乗客数は以前と変わらず、藤崎~天神間も1%余りの減少にとどまる。今のところバス施策の転換は成功している。

 ◆福岡市長も賛同

 西鉄は現在、和白(東区)や同県新宮町など、東部エリアと天神を結ぶ路線の改編についても検討を進めている。

 「バスを乗り継ぐことへの抵抗感は、当初思っていたより小さいようだ。交通体系を整備し、多くの人に動いてもらうことで、(商業・レジャー施設、ホテルなど)他の事業で利益を上げるのが西鉄のビジネス。将来的には東部にも乗り継ぎ拠点を作りたい」

 西鉄の倉富純男社長は産経新聞の取材に、こう強調した。西鉄電車・貝塚線の駅がある千早、香椎、貝塚(いずれも東区)が乗り継ぎ拠点の有力候補となる。ここから天神に向かうルートはJR九州や市営地下鉄と競合することもあり、「地域の実状に合わせたやり方を研究中」(阿部課長)という。

 市営地下鉄を運営する高島宗一郎・福岡市長も、西鉄の路線改編を歓迎する。今月3日の記者会見では「(地域発展のために)自宅から駅までバスで、そこから都心まで地下鉄で向かってもらうなど、西鉄との連携が重要だ。双方ともウィン-ウィンの関係になれる総合交通体系を作りたい」と強調した。

 その上で、乗り継ぎ客を対象に、運賃の優遇策などが必要との考えを示した。西鉄の倉富氏も「電車、バス、地下鉄が連携し、公共交通の利用客を増やすことは大事だ。そのための仕組み作りを、福岡市としっかり協議していく」と応じた。