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板橋区が狩野派などの画像データ無償貸し出し 地場産業活性化へ

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板橋区が狩野派などの画像データ無償貸し出し 地場産業活性化へ

 ■専門家派遣、中小企業にアドバイス

 板橋区と区産業振興公社(同区板橋)は、区立美術館(同区赤塚)が所蔵する美術品の画像データを、区内の中小企業に無償で貸し出し、専門家が利用法をアドバイスする事業を始めた。商品パッケージや包装、カレンダーなどへの使用を見込んでいる。区内には印刷業者も多く、区有財産の有効活用を地場産業の活性化に結びつけたい考え。また、公立美術館の新たな取り組みとしても大きな注目を集めそうだ。

 区立美術館は、昭和54年の開館。小規模ながら狩野派や琳派(りんぱ)のコレクションで知られ、ほかにも大正から昭和前期の前衛美術、区ゆかりの作家の作品などを収集している。

 画像データを貸し出す「江戸絵画コレクション商用利用サポート事業」(略称・エドコレ)は、同館が所蔵する著作権の切れた古美術167点の全てが対象となる。

 約半数が狩野典信の「大黒図」や狩野章信の「内裏雛(だいりびな)図」などの江戸狩野派で、残りが江戸琳派や浮世絵などとなっている。

 同振興公社では、同サポート事業を使って商品展開などのビジネスプランを練るケースや、パッケージなどに画像を取り入れる場合などを想定。中小企業診断士、弁理士など専門家やデザイナーを派遣し、サポート体制を整えて利用の促進や、地場産業となっている印刷業などの活性化を支援する。

 区立美術館では、平成20年に著作権切れの美術作品の画像データを無償で貸し出すサービスを始めたが、これまではわずか18件しか利用がない上に、想定した地元企業ではなく、マーケティングの担当者がいるような大手企業の利用にとどまっていた。

 このため、同振興公社は「サポート体制を整えて、利用の実効性を高め、区有財産の有効活用で地場産業の活性化につなげたい」と、専門家派遣を組み合わせることにしたという。

 32(2020)年の東京五輪・パラリンピックに向けて、訪日外国人観光客の増加により、日本の古美術に対する関心が高まるだろうと予想されていることも念頭にある。

 区立美術館では、今月28日から3月29日まで、画像データ提供の対象となる作品を含む館蔵品展「18世紀の江戸絵画」を開催する予定になっている。

 午前9時半~午後5時(入館は4時半まで)。ただし、同月14日は8時まで開館(入館は7時半まで)。月曜休館。観覧無料。問い合わせは同館(電)03・3979・3251。

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【用語解説】狩野派

 室町時代後期の狩野正信を始祖とし、明治時代の初期まで続いた日本画の一大流派。織田信長や豊臣秀吉の信頼を得て、城を飾る障壁画で活躍した狩野永徳が、名声の頂点を極めたとされる。江戸時代には、京都から江戸にも進出。永徳の孫、狩野探幽は1617年に徳川幕府から屋敷をもらって鍛冶橋狩野家を創設し、「京狩野(京狩野派)」に対して「江戸狩野(江戸狩野派)」を確立した。鍛冶橋、中橋、木挽町(こびきちょう)、浜町の狩野四家が最も位の高い奥絵師とされ、御用絵師として栄えた。