産経ニュース

【上州この人】「シネマテークたかさき」支配人・小林栄子さん(37)

地方 地方

記事詳細

更新

【上州この人】
「シネマテークたかさき」支配人・小林栄子さん(37)

 ■映画文化一層根付かせたい

 映画ファンが個人などのカンパを受けて開館した映画館「シネマテークたかさき」=高崎市あら町=が昨年で誕生から10年を迎え、次の10年に向けて新たなスタートを切った。支配人の小林栄子さん(37)に、映画館運営に対する思いなどを聞いた。(椎名高志)

                   ◇

 --運営はNPO法人「たかさきコミュニティシネマ」(志尾睦子代表)が行うという珍しい形態。映画館誕生の経緯は

 「まず、総支配人を務め、平成20年に亡くなった茂木正男の映画への情熱があった。『群馬でも観(み)たい映画を観たい』と自主上映活動を続け、それが今年で29回目となる高崎映画祭につながり、平成16年の開館に結びついた。NPOとしたことで行政の支援をいただきやすいというメリットもあった」

 --11年目に突入したが、ここまで続いた原動力は何でしょう

 「茂木が積み重ねてきた自主上映会や映画祭などの活動で多くの映画ファンが生まれ、映画文化を受け入れる土壌があったのが一番大きい。開館当初は半年も持てばいいという声もあったほどで、正直、よく続いたと思う」

 --これまでの上映映画はどのくらいになっていますか

 「邦画や洋画、ドキュメンタリーなど1285本。来場者は31万2797人、来館した監督や俳優は223人で興行収入は約3億3千万円になっている」

 --昨年1月、志尾代表の後継として支配人に就任しました。ちょうど丸1年がたちましたが

 「手探りだった。役職の名前が重く、負けないように必死だった。スタッフの手助けで何とかやれた。チケットづくりや映写、トイレ掃除などこなさなければいけない仕事は多い。単価が下がるので赤字は出るが、その分は寄付をお願いするとか委託による出張上映、経費削減などでしのいでいる」

 --上映映画の選定は

 「自分で見るのが基本だが、全国の小さな映画館仲間との情報交換、中堅配給会社からの新作情報、お客さんの要望などを総合的に判断する。だが、見てもらいたいと思った作品への反応が鈍いことも…。水ものというか、まだまだ修業が足りないと思っている」

 --映画の魅力や映画館で見ることの意味をどう考えていますか

 「非現実の世界や自分の内面を可視化してくれ体験できることが映画の魅力。映画館で見ることは知らない人たちと時間を共有すること。隣の人が自分と異なる反応をすることで自分を知ることもあり面白い」

 --今後の抱負を聞かせてください

 「この10年を振り返ると映画館のデジタル化など考えられなかった変化があった。次の10年も予想できないことが起きると思っている。そうした中で、映画を文化として高崎の街に一層根付かせ、映画を見て感動する体験を一人でも多くの人に持ってもらいたいという思いがある」

                   ◇

【プロフィル】小林栄子

 こばやし・えいこ 昭和53年、高崎市生まれ。東京の大学を卒業後、高崎映画祭のボランティアスタッフとしてチケット販売やチラシ配りなどを行う。平成16年、NPO法人「たかさきコミュニティシネマ」の立ち上げに参加、「シネマテークたかさき」開館に伴い副支配人を務め、26年1月から支配人。