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【キラリ甲信越】地域振興に取り組む松本大・白戸ゼミ

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【キラリ甲信越】
地域振興に取り組む松本大・白戸ゼミ

 ■地元産具材で「信州・まつもと鍋」開発

 松本大学(松本市)の総合経営学部観光ホスピタリティ学科・白戸ゼミの生徒たちが、JA松本ハイランドや地元の飲食店などと共同で、信州産食材をふんだんに使った「信州・まつもと鍋」を開発した。「人と食をつなぐ地域づくり」をテーマに、産学官共同での地域活性化に取り組む白戸ゼミの生徒たちは「地元を元気にしたい」と奮闘している。(三宅真太郎)

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 ◆18人が試行錯誤

 煮立った鍋の蓋を上げると、伝統野菜の「松本一本ねぎ」やハクサイなど、地元産の冬野菜が湯気の中から現れる。具材のつけだれは、すりおろした地元産リンゴを混ぜたポン酢。締めは信州味噌(みそ)と酒かすで味付けをし、ご飯と卵を入れたうえで、山賊焼きや「松本一本ねぎ」を載せて食べる雑炊だ。信州の魅力にあふれた鍋が完成した。

 開発に携わったのは同学科の白戸洋教授(55)のゼミに所属する学生18人。昨年5月、地元農産物を使った名物鍋を作ろうと、JA松本ハイランドや同市、県とプロジェクトチームを結成。松本市の飲食店やグルメ雑誌などを基に、どのような鍋が好まれているのかを調査したが、「松本らしい鍋が見つからなかった」と、ゼミ生の一人、武田晴信さん(21)は振り返る。その後、話し合いを重ねた結果、「松本でしか食べられない鍋を作ろう」と意見が一致。「地元の名産品を入れた鍋」という目標が固まった。

 具材の候補に挙がったのは、鶏のモモ肉をニンニクを混ぜたタレに漬け込んでかたくり粉をまぶして揚げた松本の名物「山賊焼き」と「リンゴ」。学生たちは、地元の居酒屋や鶏肉店、醸造所など「プロ」の指導を仰ぎながら試行錯誤した。「山賊焼き」の衣の食感や味を生かすために巾着に包んだり、雑炊の具材に使用したりといった調理法を取り入れ、リンゴは風味を生かそうとすりおろしてタレに入れることを考案した。

 ◆駅弁や移動販売

 さらに全国に広く浸透させようと、鍋を食べる機会が多い冬季(12~2月)の毎月19日を「信州・まつもと鍋の日」として日本記念日協会(佐久市)に登録。フェイスブックやブログでレシピを公開し、2月の記念日に向け、JAの直売所や地元スーパーなどで鍋を振る舞う催しを企画中だ。

 白戸ゼミのテーマは「人と食をつなぐ地域づくり」。主に、地域の食を生かした地域活性化の取り組みに力を入れてきた。「先輩の成果をただ引き継ぐな。始めた人のエネルギーには及ばないから」という白戸教授の教えのもと、学生たちは毎年、自ら問題提議を行い新たな取り組みに挑戦。地元企業や自治体とのネットワークを構築しようと、産学官連携を意識して取り組んできた。これまで地元産食材を使った駅弁「城下町おごっつぉ」の開発や販売、地元農産物をリヤカーに乗せて移動販売を行う「引き売り」などを実施。研究室開設から12年間で、地元企業やJA、松本市、県などと共同で行った取り組みは50を超えた。

 白戸教授は「われわれの取り組みで地域の問題を全て解決できるとは思っていない。むしろ、お世話になっているのはわれわれの方。地域住民の方々に育てていただいた学生たちを地域に送り出し、恩返ししたい」と話している。

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【用語解説】松本大学

 平成14年4月開学。キャンパスは松本市新村。学校法人松商学園(藤原一二理事長)が運営する私立大学。大学では総合経営学部と人間健康学部の2学部に2学科ずつの計4学科、大学院では健康科学研究科の1研究科を設置。短期大学部を合わせた全学生数は1921人(平成26年5月1日現在)。