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【祥瑞をつかめ 未年の戦略】西部ガス・酒見俊夫社長

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【祥瑞をつかめ 未年の戦略】
西部ガス・酒見俊夫社長

 ■大競争時代「攻めは最大の防御」

 これまで地域独占であった電力事業とガス事業が、それぞれ平成28年、29年から完全自由化される見通しです。競争時代の到来です。西部ガスにとって今年を、自由化に備える「エネルギー自由化元年」としなければなりません。

 西部ガスは、総合エネルギー企業を目指します。この将来を左右する、まさに正念場といっても過言ではない時期にさしかかっているのです。27年度中に電力事業に取り組む部署を設け、本格的に始動させます。

 総合エネルギー企業に脱皮する上で、カギとなるのが、北九州市若松区に昨年完成した大型の液化天然ガス(LNG)受け入れ施設「ひびきLNG基地」です。

 これまでに比べ大量のLNGを受け入れることが可能となりました。このLNGを使い、最大出力160万キロワットの火力発電所建設を決断しました。

 とはいえ、火力発電所の完成は早くても平成32年度と、まだ5、6年も先のことです。それまでのんびりと待っているつもりはありません。

 すでに自由化されている企業など大口向けだけでなく、家庭用電力の販売への参入も視野に入れます。そのために、既存の電力会社のように電力販売ができる「新電力」の申請をし、経済産業省に受理されました。

 西部ガスはこれまで、食や介護といった多角化を進めました。こうした事業には力を入れる姿勢は変わりません。ですが、エネルギー自由化になって何をするのか、何ができるのかが重要です。

 しばらく新たな事業は控え、本業であるガスや電力などのエネルギー分野に、「人」「物」「金」という経営資源を集中させる必要があります。

 エネルギー事業の大競争時代が直前に迫る以上、丸腰でいるわけにはいかない。攻めは最大の防御とも言いますからね。

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 企業経営の上では、スピード感を重視しています。

 例えば昨年末に決め、今年1月1日からスタートした料金値下げがあります。家庭用ガス料金を平均1・44%引き下げました。

 この値下げは、ひびきLNG基地が稼働したことをみなさんにお知らせし、メリットをいち早く実感してもらう必要があると思ったからです。

 ひびきLNG基地によって本来、1割程度のコスト削減が予測されます。もちろん、巨額の設備投資をしたわけですから、その効果が即座に出るわけではありません。それでも、この先コストが抑えられる見通しを根拠にして、第一弾の値下げをしたというところですね。

 値下げ幅が小さいのは否めませんが、値下げは一気にできるものではなく積み重ねていくものです。数年かかるとは思いますが、現状より数%は安くできるはずで、期待していただきたい。

 家庭用ガスだけでなく、企業向けも値下げを進めます。企業のような大口向けのガス販売は、新規参入が予想され、価格競争も激しくなるでしょう。西部ガスを選んでもらえる態勢を確立し、勝ち抜いていかなければなりません。

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 安倍晋三政権が進める経済政策アベノミクスは、徐々に効果が出ていることはまちがいないですが、中小企業も含めて地方に波及するには、まだ時間がかかるでしょう。

 それでも、昨年末の衆院選で与党が勝利したことは、アベノミクスを推進する安倍政権が信任されたといえるでしょう。長期安定政権が可能になることを意味しているだけに、人口減少への対策や社会保障制度、地方創生といった課題に取り組める基盤ができたと期待しています。

 一時しのぎの政策というより、国家百年の計のような抜本的な対策は、やはり短期政権では難しい。腰を据えた対策が進めば、将来に展望が抱けるようになります。

 そうなれば企業活動は活発化して、真の景気回復が実現できるのではないでしょうか。

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【プロフィル】さけみ・としお

 昭和28年2月、福岡県生まれ。50年に同志社大経済学部を卒業し、西部ガスに入社。リビングエネルギー本部長兼リビング企画部長などを歴任し、平成21年4月にマルタイ社長。23年6月から取締役常務執行役員を経て、25年4月に社長に就任した。