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【祥瑞をつかめ 未年の戦略】西日本鉄道・倉富純男社長(61)

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【祥瑞をつかめ 未年の戦略】
西日本鉄道・倉富純男社長(61)

 ■福岡空港事業への参入検討「ホテルを口火、一気にアジア展開」

 昨年末の衆院選で与党が勝利し、安倍政権が今後4年ほど続く見通しになりました。現在の経済施策もブレずに進められるでしょう。私たち企業経営者としても、中長期をにらんで、事業計画を考え、取り組める環境になりました。

 日本の実体経済がさらに力をつけるためには、私たちサービス産業が頑張らないといけません。そんな決意で、今年も挑戦を続けますよ。

 挑戦の象徴の一つが、海外1号店として今夏に開業する韓国・ソウルのソラリア西鉄ホテルです。

 西鉄は、国際物流事業で海外に進出していますが、物流事業の国内拠点は東京に置いています。

 ソウルのホテルは、福岡の本社チームが手がけた初の海外事業なのです。「自分たちも海外でやれる」。こんな前向きな意識が、(福岡の本社に)生まれたように感じます。非常に大きな意味を持つプロジェクトなのです。

 なぜ海外なのか。競争の厳しい日本で通用するノウハウ・サービスは海外でも通用すると、自信を持っているからです。

 とはいえ、最初の数年間は、収益があまり良くないかもしれない。しかし、それでめげてはいけない。ソウルの1号店が軌道に乗るのを待つことなく、よい物件さえ見つかれば、間髪入れずに2号店の計画に着手すべきなのです。場所は、日本人の出張客も多い東南アジアや韓国ということになるでしょう。

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 現在の中期経営計画の平成25年度から27年度までを新しい市場の開拓に挑戦し「成長への種まき」にあてる期間と位置づけています。

 市場開拓への挑戦として国際物流とホテル以外の事業でも、海外展開の計画を前進させたい。中でもマンション事業が有力です。よい案件があれば、27年度にも事業展開を本格化できるのではないでしょうか。

 日本国内は人口減少が進み、長期的にみればマンション開発は限界があります。

 では、海外のどこに建てるか。こちらもタイ、ベトナム、インドネシアなど、経済成長を続ける東南アジアが狙い目でしょう。中国はリスクが大きいですね。

 バリアフリー設計、遮音性が高い壁、高機能のトイレなどの設備-。付加価値が高い日本の住宅が、東南アジアで通用しないはずがありませんよ。西鉄としても、国内で培ったノウハウを、海外で生かす自信はあります。

 また、雑貨専門店「雑貨館インキューブ」も、海外展開の可能性がありますね。メード・イン・ジャパンの雑貨や文房具は、アジアでも大きなブランド力を持ちます。

 インキューブは現在、国内で多店舗展開しているところです。昨年6店(名古屋、京都、東京・吉祥寺など)を出し、計11店になりました。まずは、これらを黒字化することが優先です。時間はかかるかもしれませんが、足元を固めたら次は海外出店を期待しています。

 そして国際物流事業。中期経営計画で掲げている通り、現地法人、駐在事務所などの海外拠点数を31カ国・地域の116都市(現在24カ国・地域の95都市)に広げます。ここまで海外ネットワークが広がれば、(日本を介さない)第三国間の輸送をもっと受注できるようになり、売上高を大きく伸ばせます。

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 西鉄の本拠地である福岡市・天神の活性化にも、しっかり取り組みます。天神の魅力の向上は、西鉄という企業の価値向上でもありますからね。

 今春にかけて、天神の商業施設「ソラリアプラザ」の大規模改装を順次進めています。天神地下街とソラリアプラザを結ぶ地下通路沿いに店舗が整備され、天神の地下のネットワークが生まれ変わります。

 また、高速バスが発着する「天神バスセンター」の改修も、今春に終わります。こちらは平成9年の開業以来初めての大幅改修です。ソラリアプラザと合わせて70億円を投資した天神の「改造」が完結するわけです。

 天神に加え、今後の福岡の成長という点では、福岡空港の存在がカギを握るでしょう。

 (国土交通省が滑走路増設の前提条件として挙げた)空港運営権の民間委託を昨年、福岡県と福岡市が容認しました。滑走路増設により発着が増え、人の動きが活発になれば、街が発展します。

 民間委託については、西鉄も(入札を)検討しますよ。空港が民間活力を取り入れることで、さらに発展してほしい。そのために力になれる部分があるならば、知恵を出し、汗をかくのも公共交通を担ってきた西鉄の役割でしょう。(田中一世)

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【プロフィル】倉富純男

 くらとみ・すみお 昭和28年8月、福岡県生まれ。53年に青山学院大経済学部を卒業し、西日本鉄道入社。都市開発事業本部流通レジャー事業部長、常務経営企画本部長などを経て、平成25年6月、社長に就任した。