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佐賀知事選 自民vs農協、構図明確に 樋渡氏陣営、山口氏の突き放し狙う

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佐賀知事選 自民vs農協、構図明確に 樋渡氏陣営、山口氏の突き放し狙う

農協改革の必要性を訴える自民党の稲田朋美政調会長=8日午後、佐賀県唐津市

 佐賀県知事選は11日の投開票日に向け、前武雄市長で知名度を誇る樋渡啓祐氏(45)=自民、公明推薦=を、農協の全面支援を受けた元総務省職員の山口祥義氏(49)が、追い上げる展開となっている。岩盤規制の象徴として農協改革を狙う政府・自民党は、佐賀県知事選を「改革の試金石だ」(党幹部)と位置づける。樋渡氏支援に閣僚・党幹部を次々と投入し、一部の自民県議らも推す山口氏を突き放そうとしている。(奥原慎平)

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 「新聞で『官邸対農協』とか書かれますが、(農協改革は)農協ごとの創意工夫を引き出す農業者のための改革です。所得向上や米価対策などはきちんとおこなっています。私の名は稲に田んぼなんです。絶対に日本の農業を守ります!」

 8日午後7時。自民党の稲田朋美政調会長は、唐津市民会館(佐賀県唐津市)で開かれた樋渡氏の総決起大会で、こう訴えた。

 昨年12月25日の告示以来、菅義偉官房長官、谷垣禎一党幹事長、太田昭宏国土交通相、茂木敏充選対委員長らが続々と樋渡氏の応援に入った。佐賀県知事選で「自民vs農協」の構図が明確になったからだ。

 安倍晋三政権は全国農業協同組合中央会(JA全中)を、成長戦略のために突き崩さなければならない岩盤規制の象徴と見なし、次期通常国会に農協法改正案を提出しようとしている。

 こうした動きに、これまで自民党の集票マシンとして大きな役割を果たしてきた農協側は反発を強める。

 佐賀県知事選でも、昨年12月17日に樋渡氏推薦を決定した自民党に対し、JAグループ佐賀の政治団体「佐賀県農政協議会」(中野吉実会長、正会員5万5千人)は、山口氏の擁立・推薦を決めた。

 全国農業協同組合連合会(JA全農)の会長も務める中野氏は「『農協は駄目だ』と主張する人を応援するわけにはいかない」と訴え、農政協の別の幹部も「負けたら佐賀の農協は終わり。絶対に勝つ」と語気を強める。

 さらに、トップダウンで物事を決めるとされる樋渡氏の政治手法に反発する自民党県議や、秀島敏行・佐賀市長らも山口氏を支援する。山口氏支援に回った自民県議の一人は「選挙後に党本部から処分があるかもしれない。それでも、県政はチームワークで政策を決めねばならない。佐賀にとっては、広く意見を聞く候補が適任だ」と話した。

 これに対し、安倍政権も「佐賀で勝って、農協改革の弾みにしたい」とばかりに全力を注ぐ。自民党幹部が「徹底的にやる。たたきつぶす」と意気込む通り、九州選出の国会議員に対して「選挙期間中に、一度は佐賀に応援に入れ」と指示したという。

 佐賀県を舞台に「自民vs農協」が過熱の一途をたどる中で、西川公也農林水産相は今月6日の記者会見で、JA全中の地域農協への監査権をなくす意向を表明した。自民党農林族の重鎮も8日、「農協は既存の制度のままではよいとは思えない」と語った。

 樋渡陣営の県議は「樋渡氏に『NO』を言っているのは既得権益を持ったJAか、個人的な感情で動いた議員だけ。樋渡さんは、むしろ生産者の所得向上に力を入れていく」と淡々と語った。

 ともに無所属新人の九州大大学院教授の島谷幸宏氏(59)は原発の再稼働反対などを、農業の飯盛良隆氏(44)は食育の推進などを訴えている。

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 ◇佐賀県知事選 届け出順

 飯盛 良隆 44 農業     無新

 樋渡 啓祐 45 前武雄市長  無新 【自】【公】

 山口 祥義 49 元総務省室長 無新

 島谷 幸宏 59 九大院教授  無新