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【神奈川のノーベル賞候補 新春インタビュー(1)】水島公一さん リチウムイオン2次電池 苦肉の方向転換「福」招く 「東芝リサーチ・コンサルティング」エグゼクティブフェロー

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【神奈川のノーベル賞候補 新春インタビュー(1)】
水島公一さん リチウムイオン2次電池 苦肉の方向転換「福」招く 「東芝リサーチ・コンサルティング」エグゼクティブフェロー

「東芝リサーチ・コンサルティング」の水島公一エグゼクティブフェロー

 世界最高の栄誉といわれるノーベル賞。昨年は青色発光ダイオード(LED)の開発で日本人3氏が物理学賞を受賞し、列島は喜びに沸いた。資源に乏しいわが国にとって科学技術は未来を拓(ひら)く生命線。これまでに蓄積されたノーベル賞級の偉業はほかにも多数存在し、今年も受賞が期待されている。平成27年の年頭にあたり、特に神奈川とゆかりがある3人の研究者を3回にわたって紹介。世界的な成果にたどり着いた努力、神奈川への思いなどを聞いた。

 スマートフォンやノートパソコンといった電子機器のバッテリーとして欠かせない「リチウムイオン2次電池」。長時間の使用や繰り返しの充電が可能なこの電池は、昨年のノーベル物理学賞に選ばれた青色発光ダイオード(LED)と同じく、世界中の人々の暮らしに大きく役立っている。

 電池には正極(プラス)と負極(マイナス)があるが、このうち正極の材料として「コバルト酸リチウム」が適していることを、35年以上前に世界で初めて発見したのが、「東芝リサーチ・コンサルティング」(川崎市幸区)の水島公一エグゼクティブフェロー(73)だ。

 「本当に小さな研究だった。幸運としか言いようがない」

 こう当時を振り返る水島さん。長らく鎌倉市在住で、「神奈川は、東京の雑踏から少し離れて物事を見渡すことができる場所。おかげで研究の視野を広げられたと思う」と、研究者として県内で暮らす“利点”を明かす。

 ■崩れぬ“エクレア”

 発見の舞台は英オックスフォード大にいたジョン・グッドイナフ教授の研究室だった。昭和53(1978)年、留学中にこの研究室で研究をしていた水島さんは、実験データの線グラフを印字して出力されるロール紙を、真剣な表情で確認していた。

 このときの実験では、コバルト酸リチウムの結晶にかけた電圧に強弱をつけ、電池の充電と放電に相当する環境を再現。結晶内部を流れる電流の強弱が電圧の変化に対応していれば、充放電を繰り返しても結晶が崩れずに、電池として適した物質であることになる。

 それまで多くの物質で試していたが思うような成果を得られず、実験開始前はうまくいくか半信半疑だった。しかし、線グラフが表していたのは見事な対応関係だった。

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