産経ニュース

幻の高級魚「スマ」、和歌山県水産試験場が稚魚の飼育技術向上に成功

地方 地方

記事詳細

更新


幻の高級魚「スマ」、和歌山県水産試験場が稚魚の飼育技術向上に成功

 脂の乗りがよくマグロに近い味で「幻の高級魚」ともいわれる「スマ」について、県水産試験場(串本町)が稚魚を飼育する技術を向上させることに成功した。生後間もない時期の共食いや、飼育槽の底に沈んで死ぬなど致死率の高さが課題となっていたが、さまざまに工夫を重ねて克服。同試験場は、産業化に向けた生産技術の確立へ、さらに研究を進めたいとしている。

 スマは、スズキ目サバ科の回遊魚で、マグロの近縁にあたる。脂が乗りやすく味も良好で、成長が早いのが特徴。大きいもので体長50~60センチ、重さ3~4キロ程度になり、インドネシアやフィリピンなど南方が生息地のため日本ではほとんど獲れず、「幻の高級魚」とされている。

 同試験場は、マグロより小型で飼育しやすい点に着目し、平成24年度から生産技術の開発に着手。いけすに出すことができる体長4・5~6センチまで育てる方法を探ってきた。

 今年度は受精卵約2万粒を用意し、8月29日から円形水槽で飼育に取り組み、9月17日に引き上げたところ、2226匹が確認でき、4・6センチ前後まで成長していたという。

 量産を妨げる要因となっていたのは、生まれたばかりのスマが水面に張り付いて空気に触れ続けて死ぬ「浮上死」と、飼育槽の底に沈降して死んでしまう「沈降死」、成長過程で多発する共食いだった。

 対策として、水面に油膜を作って空気と触れにくくし、水流を作って底に沈み込まないように工夫。共食いについては、スマのエサになる魚を同じ水槽に放すことで回避できた。これらの対策で、25年度は7・5%だった生存率が今年度は11・1%まで向上したという。

 同試験場の担当者は「卵から、いけすに出せるサイズまで育てられるようになったのは大きな前進。本格的な生産につなげられるよう、さらに技術を確立したい」と話し、春に孵化させて生産する方法などを探ることにしている。