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長野県消防防災ヘリ「アルプス」操縦士2人採用 高い技術…通年運用に光

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長野県消防防災ヘリ「アルプス」操縦士2人採用 高い技術…通年運用に光

 複数の操縦士が確保できず、通年で運用することができない状態となっている県消防防災ヘリコプター「アルプス」(米国・ベル412EP)について、県は民間から新たに操縦士1人と、操縦士として養成する消防士1人を県職員として採用することを決めた。ヘリの操縦には機種ごとに操縦資格が必要なほか、高高度での山岳救助など高い操縦技術が要求されるため、通年運用が可能になるまでにはしばらく時間がかかるが、平成25年4月から続いていた操縦士1人の態勢はようやく解消される見通しが立った。

 ◆消防本部に呼びかけ

 アルプスの操縦士は2人態勢が続いていたが、24年末に操縦士1人が退職。ドクターヘリの普及などによる全国的なヘリの操縦士不足の中で、以降は一時的に民間から操縦士の派遣を仰ぐなどしたが、基本的に50代の男性操縦士1人のみが勤務する態勢が続いており、1週間のうち2日間はアルプスを運用できない状態にある。

 この間、県は「飛行時間1千時間以上」などとしていた採用条件を緩和するなどし、3回にわたって操縦士を募集したが、採用には至らなかった。

 このため、県は災害対応や救助活動などに使命感の高い操縦士を、庁内の消防士の中から養成している東京消防庁などの例を参考に、県内の消防士から操縦士を養成することを決定。県内の各消防本部に呼びかけたところ、33人の応募があり、航空適性検査など2次にわたる選考の結果、中信地区の消防本部に勤務する20代の男性消防士の採用を決定。来年4月1日に県職員として採用し、操縦士免許を取得するための専門養成機関に派遣する。

 ◆高額養成費やむなし

 消防士からの操縦士養成は東京消防庁などの例があるが、「別組織である県内の消防本部から希望者を募集するのは全国でも恐らく初めて」と県消防課の西沢清課長。2種類の操縦士免許とアルプスの操縦に必要な機種限定資格の取得までには最短で2年間、費用も5千万円ほどが必要となるが、西沢課長は「深刻な操縦士不足の中で、きちんとした運用を確保するためにはやむをえない。使命感を持ち、県内で勤務する消防士なら、定年までの長期間、操縦士としての活躍が期待できる」と話す。

 民間からの操縦士募集も、資格要件を緩和したり、積極的なPR活動などを展開したりして18人が応募。運行業績評価などの選考の結果、県外の40代男性が合格し、1月1日付で採用する。4月から2カ月程度をかけてアルプスの機種限定資格を取得する。資格取得までには3千万円ほどの費用が見込まれるが、県は27年度予算に計上を予定している。

 ◆腰を据えて人材育成

 2人はともにアルプスを操縦できる資格を取得後、習熟訓練を繰り返す。飛行業務はまず、土砂災害現場の上空からの確認など難易度の低い業務から行っていく予定。西沢課長は「標高3千メートル級の山岳での遭難救助など、気流条件の悪い場所でのホバリングが必要な緊急出動には、センスもあるが、最低で2、3年以上は必要。腰を据えて人材育成に努めたい」と話している。

 アルプスが所属する県消防防災航空隊は、県営松本空港内にある消防防災航空センターが拠点。任務は救急・救助活動や林野火災の消火、地震などの災害発生時の情報収集、物資輸送など広範囲にわたる。出動件数は25年度に255件、今年度は10月末現在で118件を数える。9年度の運航開始以来、搬送した傷病者と人命救助人員は2千人を超えている。