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福井県立美術館所蔵、菱田春草の「落葉」連作最後の重要作品と確認

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福井県立美術館所蔵、菱田春草の「落葉」連作最後の重要作品と確認

 明治時代を代表する日本画家、菱田春草(1874~1911年)の代表作「落葉」(連作、全5点)のうちの1点を所蔵する県立美術館(福井市文京)は、所蔵品が連作の中で最後に制作され、画風の到達点となる重要作品(完成作品)であることが確認されたと発表した。決め手となる「製作控帖」が発見されたためで、長年、「練習作」との説を拭いきれなかったが、これで決着がついたとしている。

 同美術館によると、所蔵の「落葉」は、昭和52年11月の開館間もないころに約1億円で購入したが、制作時期については戦後に論争となっていた。

 平成15年に「菱田春草展」を開いた愛知県美術館の村田真宏館長が、連作を見て、明治42年10月の第3回文展出品作で重文となっている永青文庫(東京都)の「落葉」以降の作品と共通する装飾的な要素があることを指摘、「絵画表現のもう一つの到達点だった」と結論を出した。しかし、決定的な証拠がなく、背景を描かない描写などから永青文庫の作品以前の練習作とする研究者の説を払拭することはできなかった。

 今年9月に春草の生誕地、長野県飯田市で晩年の「製作控帖」が発見され、連作の最後の1点と決着がついた。

 42年11月に受注した作品で、「“落葉”の中で装飾性を追求した、到達点といえる重要作品」と分かったという。

 県立美術館担当者は「永青文庫の作品のあと、次の作品への挑戦を決めた段階での重要作。非常に貴重だ。簡素化され、装飾性が強調されている」と話している。