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無党派に「高島」の風 福岡市長選分析

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無党派に「高島」の風 福岡市長選分析

 福岡市長選は高島宗一郎氏(40)が大差で再選を果たした。高島陣営は前回選挙(平成22年)並みの20万票超えを目標に掲げていたが、ふたを開ければ25万6064と市長選過去最多の得票数となり、他の5人を大差で破った。背景には、無党派層の中に「高島支持」の風が強く吹いたことがあるようだ。(大森貴弘)

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 「自民党は高島氏に推薦を出していたが、積極的に動くことはなかった。にもかかわらず25万票をとったことで、党本部から『高島はすごいな』と驚かれたよ」

 自民党福岡県連の幹部は、興奮気味にこう語った。

 高島氏は選挙中、国家戦略特区を始め、アベノミクスとの連動による福岡市の経済発展を強調した。国政レベルで野党が「アベノミクスは失敗だ」と批判を強める中、政権の思惑もあったという。

 それだけに、高島氏の大勝は政権与党にとって、明るい話題といえる。高島氏本人も「私の当選は、政権への後押しになることは間違いない」と語る。

 高島氏は今回、自民と公明両党の推薦を得た。だが、自公の県議や市議に、積極的に支援を要請することはなかったという。陣営幹部は「与党であっても、借りは作りたくないという高島氏本人の意向でしょう」と解説する。

 高島氏は「無党派層」を頼みにした。

 民放アナウンサーとしての知名度、市の課題や施策を分かりやすく発信するプレゼンテーション能力があればこその戦術だった。実際、街頭で遊説すれば、子供が追いかけるほどの人気振りだった。

 自民党本部の調査によると、投票した無党派層の6割が高島氏に流れた。自民党支持層の高島氏への投票は6割を切ったという。

 高島氏による無党派層取り込みは、返り咲きを目指した元市長の吉田宏氏(58)にとって、大きな誤算だった。

 吉田氏は前々回、前回と民主党の推薦で戦った。今回は「政党の利害を超え、市民党として戦う」として政党推薦も、連合福岡などの団体からの推薦も受けずに選挙に臨んだ。

 組織力を手放しても政党色を薄めることで、無党派層への浸透を図り、「反高島票」の結集を狙った。

 ところが、頼みの綱の無党派層は、高島氏に流れる。吉田氏の陣営幹部は「組織力の差で負けた」と愚痴をこぼすしかなかった。

 さらに、衆院の解散風も、高島氏にとって、選挙戦終盤の追い風となった。自民党の国会議員が市長選に“便乗”するようになったからだ。

 象徴的なシーンは15日夜にあった。福岡1~3区の衆院議員が、高島氏応援でそろい踏みしたのだ。中でも、高島氏と同様に麻生太郎副総理兼財務相(福岡8区)に近く、福岡1区選出の井上貴博氏が、懸命に動いたという。

 その福岡1区で、高島氏は強さを見せつけた。

 東区は、民主党の松本龍元環境相の地盤であり、民主党が強い地域だった。実際、前回選の得票率は高島氏39・1%、吉田氏41・9%と、高島氏が唯一、負け越した地域だった。

 だが、4年前とは環境が変わった。

 松本氏は平成24年12月の衆院選で落選し、今年10月には次期衆院選への不出馬を表明した。

 高島陣営はこの東区に注力した。本人の遊説スケジュールを調整し、区内をくまなく回り、住民の意見を聴いた。4年前の街頭演説では5人しか聴衆が集まらなかったある商店街では今回、商店街総出で人が集まった。「今回はあなたを応援するよ」と声をかける有権者もいたという。

 結果、東区で高島氏は前回より1万5千票多い5万2422票を獲得し、吉田氏をダブルスコアで圧倒した。

 高島陣営の幹部は「松本氏の影響力が低下し、これまで松本氏を支援してきた人が、しがらみなく動けるようになったのかもしれない」と解説した。