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【記者のイチ押し】箱根寄木細工の工房「OTA MOKKO」 神奈川

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【記者のイチ押し】
箱根寄木細工の工房「OTA MOKKO」 神奈川

 ■尽きぬ創作のアイデア

 箱根・小田原エリアで江戸時代から受け継がれてきた箱根寄木細工。パズルのような「秘密箱」が土産物として有名だが、実は文房具や食器などの日用品も人気が高い。「愛着を持って、長く使い続けてもらえたら」と、一つ一つの作品に心を込める若手職人の工房を訪ねた。

 「日本の木は淡く、落ち着いた色合い。なるべく日本の木を使うのがこだわりです」

 箱根寄木細工職人の太田憲さん(35)の工房兼店舗「OTA MOKKO」には、約20種類の木材が所狭しと積み上げられている。黄土色や紅色、薄茶色など、一口に木と言っても、さまざまな色合いがあることが分かる。

 箱根寄木細工は、天然木を組み合わせることによって幾何学模様を表現する。太田さんの作品は、四角形や八角形の連続模様が特徴で、皿やおちょこ、ボールペン、カードケースなど、バラエティーに富む日用品が並ぶ。

 「お店の顔みたいになっているのは、ボタンかな」と、太田さん。優しい色合いの愛らしいボタンは、直径15~42ミリまで、7種類の大きさがある。「娘に、自分の作品を身につけてもらいたくて作ったんです」と、はにかんだ笑顔を見せた。

 太田さんはもともと、内装関係の会社に勤めるサラリーマンだった。「ものづくりをしたい」と20代前半で会社を退職し、埼玉県の職業訓練校に入学した。在学中に箱根寄木細工の技術を知り、「この技術を身につけて、生業(なりわい)にしたい」と決断。家族を引き連れ、南足柄市の工房に弟子入りした。8年間みっちりと基礎から技術を学び、独立した。

 平成17年には、若手の箱根寄木細工職人4人とともに、若手職人集団「雑木囃子(ぞうきばやし)」を結成。パリの国際見本市に出展したり、日本橋三越本店(東京都中央区)や「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)など、国内各地で展示販売会を開催してきた。

 「“若いうちの苦労は買ってでもしろ”という言葉を思いながらやってきました。お金はなかったけれど、夫が自分で選んだ仕事ですから」と話す妻の海さん(35)の耳には、太田さんの作ったピアスがあった。

 ヘアゴムなどのアクセサリーも販売。創作のアイデアは、まだまだ尽きそうもない。

 「寄木は10年やってようやく一人前で、50歳で若手、70歳で働き盛りって言われてるくらいなんで、道のりは長いですね」と、太田さんはちゃめっ気たっぷりに笑った。

 所在地は、小田原市早川3の1の10。店舗の営業時間は午前9時から午後5時。不定休。問い合わせは(電)0465・22・1778。(小林佳恵)