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北九州銀行開業3年地場に根付く

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北九州銀行開業3年地場に根付く

開業3年を迎えた北九州銀行本店=3日午前、北九州市

 山口フィナンシャルグループ(FG)傘下の北九州銀行(加藤敏雄頭取)が3日、開業から丸3年を迎えた。わが国に例のない「支店分離方式」によって誕生した新銀行は、北九州市の指定金融機関になるなど地元にすっかり定着した。福岡銀行、西日本シティ銀行などを交えた金融機関競争も、地元企業にとってみれば、より有利な条件で資金を借りることができることを意味し、歓迎の声が上がる。(奥原慎平)

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 JR小倉駅を発着駅に、北九州市内を南北に貫くモノレール。コーポレートカラーの黄色とヒマワリに彩られた北九州銀のラッピング車両が、連日往復する。市民にはおなじみの光景だ。

 北九州銀は、山口銀行の支店を切り離す形で、平成23年10月に営業を始めた。

 この3年間で店舗数は24店から31店に増加し、貸出金残高も平成24年3月期の7231億円から26年3月期は8046億円と伸びた。預金残高も順調に伸び、開業当初から課題だった、融資残高が預金残高を上回る「オーバーローン」も昨年9月に解消した。“地場銀行”として、上々のすべり出しだといえる。

 北九州市も、地場銀行として認めた。

 市は今年6月、指定金融機関を平成27年度から北九州銀を含めた4行の当番制にすると発表した。

 同市の指定金融機関は、みずほ銀行と、ふくおかFG傘下の福岡銀行が1年交代で担ってきた。

 指定金融機関は、市税の収納などの公金業務にあたる。行員を市役所に配置するなどコストがかかるが、信用力が増す効果がある。

 指定を求める北九州銀に対し、24年9月頃から、市議会で賛同の声が上がったという。

 勢力を伸ばす北九州銀に他行は警戒を強める。

 北九州銀と同時に指定金融機関入りを果たした西日本シティ銀行は、副頭取を北九州・山口代表とし、応戦する。谷川浩道頭取は9月29日の記者会見で「北九州銀に限らず、多くの銀行と競争している。競争を肯定的にとらえ、自らを鍛えたい」と語った。

 福岡銀も、北九州代表は副頭取が務める。

 「以前から当行にとって北九州は重点地域の一つだった。後れをとるようなことがないようにしたい」

 福岡銀の柴戸●成頭取は9月30日の記者会見で、こう述べた。

 競争は「北九州金利」とも呼ばれる金利低下を招く。

 日本銀行北九州支店によると、今年4~6月期の北九州管内の企業向け貸出平均金利は1・49%だった。北九州銀設立前年の平成22年の年間平均1・87%に比べ0・38ポイント低下した。同時期の全国平均の金利低下幅は0・33ポイントだった。

 金利低下は、銀行にとって悩みの種だ。金融業界関係者は「営業先がライバル銀行から借り入れている場合、より低い金利で返済分まで貸すこともある」と打ち明けた。

 だが地元企業にとってはありがたい。

 北九州商工会議所専務理事の羽田野●士氏は「金融機関は互いに大変でしょうが、中小零細企業にとって融資相談もしやすくなり助かります。北九州が『有望市場』と評価された現れでしょう」と語った。

 日銀北九州支店によると、北九州都市圏にある企業の平成26年度設備投資額は、前年度比63%と大幅なプラスとなる見通し。さらに製造業では38%の企業が、金融機関からの借り入れを設備投資に充当するとしている。前年度実績は24%だった。

 北九州を舞台にした金融機関競争は、今後さらにヒートアップが予想される。

 現在、金融庁は全国の地方銀行に対し、再編を促している。競争による優勝劣敗は、地銀再編の動向を左右するかもしれない。

●=隆の生の上に一