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福祉人材育成、困難さ浮き彫り 長野県審議会、産業教育のあり方議論

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福祉人材育成、困難さ浮き彫り 長野県審議会、産業教育のあり方議論

 工業高校や農業高校など県内の専門高校で行われている産業教育は産業界や地域、学校間の積極的な連携が進む一方、福祉分野では国家資格取得の難しさから教育内容そのものが大きな岐路に立たされていることが、16日に開かれた県産業教育審議会(大石修治信州大工学部長)に報告された。県教育委員会は「福祉分野の人材育成についても、少子高齢化が進む中で考える時期にある」として、同審議会での議論の行方を見守っている。

 同審議会は、産業構造や社会情勢が大きく変化する時代の転換点を捉え、6月に県教委から産業教育のあり方について諮問され、議論を開始。この日は審議の進行にあたって、校長や県担当部署からなる専門調査員から、農林業▽工業▽商業・観光▽家庭・福祉-の4分野について現状と課題報告が行われた。

 それによると、人材供給の要請が高まる福祉分野では、公立高22校で福祉に関する教育が行われているが、専門学科は上田千曲の生活福祉科(定員40人)のみ。同科は初歩的な介護職員初任者研修を取得できるが、介護福祉士国家試験の受験資格には52単位(1820時間)以上の定められた専門科目の履修・習得が必要で、他の専門学科の専門科目履修・習得(25~30単位)に比べてかなり多く、「資格取得は困難」と指摘した。

 そのうえで、社会情勢や生徒・保護者のニーズに応えるには、「福祉マインドの育成」か「専門的な資格取得に向けた教育」かの選択肢を示して「模索が必要」とした。

 また、工業分野では、人材供給が比較的順調に行われていることが報告されたが、萩本範文委員(多摩川精機副会長)は工業高校の進学率上昇が人材のミスマッチを招いていると指摘。「社員に高卒を採用したくても進学してしまい、高学歴化が結果的に就職浪人を増やしている。高等教育ありきではなく、高校では職業に就くことの大切さを教えてほしい」と述べ、高卒での就職者数の増加を求めた。