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【みちのく昔話 伝説を訪ねて】化女沼伝説(宮城・大崎市)

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【みちのく昔話 伝説を訪ねて】
化女沼伝説(宮城・大崎市)

沼に身を投げた姫の悲恋

 宮城県北部の大崎市古川にある東北道の長者原(ちょうじゃはら)サービスエリア(SA)。なだらかな丘陵地帯にあり、上りと下りの両SAの展望施設から、近くの景勝地「化女(けじょ)沼」を一望できる。

 長者原など化女沼周辺には、長者とその娘の沼にまつわるいくつかの伝説が残る。その一つが「照夜姫(てるやひめ)伝説」と呼ばれる長者の娘(姫)と旅の若者の悲恋物語だ。

 「古川市史」(昭和47年発行)などによると、伝説はこうだ。昔、沼のほとりに住む長者にひとりの姫がいた。朝夕、姫が岸辺に立つと、その美しさに見とれてたくさんの蛇が水面に集まるようになった。ある秋のこと、ここを通った美男の若者が許しを請い、長者の館に泊まった。やがて若者は旅立つことになり、姫は別れを嘆き悲しんだ。

 ある日、姫は体に異常を感じ、しばらくして蛇を産んだが、蛇は長者の館を出て、沼の中に消えた。その後、沼の中から毎晩のように泣き声が聞こえ、やがて姫は泣き声に誘われるように愛用の機織機(はたおりき)とともに水中に身を投じた。その後、毎年5月の節句の日(または7月7日)には、沼の中から機を織る音がするといわれる。